【ナンバカ】短編恋愛集09

彼女が風邪をひいたなら03　-チィー- ページ8

A「待って…。」


Aが俺の手を握った
俺の体に鳥肌が走る
殺される…

恐る恐る振り返るがAは薬を飲んでいたんだ
今は殺されはしない
今はね


チィー「どうしたー？」


手を握り返してやった


A「行っちゃやだ…。」


聞いた？
皆さん聞きました？
あの南波のデンジャラスクイーンなAちゃんが「行っちゃやだ」ですって！
俺…生きててよかった…
ありがとうお母さん


チィー「行かないよ。ずっとそばにいるさ。」


この言葉の意味を深く詮索されると恥ずかしいんだけど
今のAにそんな思考能力がないことが幸いだ
頬を撫でると一瞬だけ嬉しそうに微笑み再び目を閉じた

クズの俺がこんなに幸せでいいのかね
世の中ってもんは不平等なもんだ

しかし幸せは長くは続かないわけで…



A「おい、起きろクズ。」

チィー「のあっ！何！？」


いつの間にか寝てしまったらしい
ベッドから蹴落とされ慌てて顔を上げるとおっかない顔したA


チィー「風邪は…治ったの…？」


恐る恐る聞いてみる俺


A「お陰様でな。」


へー、そいつはよかった…
薬の効力も無事切れたようで…


A「このインチキ薬剤師がぁー！」

チィー「ぎゃー！」


さらに壁に向かって投げ飛ばされた
やめて！ドア壊れる！床が抜けちゃう！


A「よくも騙してくれたな…。」

チィー「いや…それはAの為を思ってね…。」

A「言い訳はいらないんだよ…。」


思わず正座をして丁重に頭を下げた


チィー「すいませんでした…。」

A「まともな薬も作れねえのか？あ？」

チィー「申し訳ございません！」


この土下座に免じて許してください！


A「てめえの安い土下座なんかなんの価値もねえんだよ！
　 今日と言う今日は許さんぞボケー！」

チィー「ぎゃーーー！助けてーーーー！」


自分の為にももっと真面目に薬の研究しようと思う俺でした

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