【鬼灯の冷徹】黒猫の神獣【男主】

思い出 ページ19

《ねえ、君名前は？》
《千景》
《へえ、良い名前だね、それにしても――猫かぁ》

《………》


目の前で笑ってる人物、顔が良く見えないが懐かしい。

けど、初めて会った人物なはず
場面は一転、重たい身体と上に見える顔は……泣いてる。
もふもふとした黒い自分の手、ああ横になってるのか


《何で、何で……千景》



倒れてる尻尾が2本の白猫

その横で見てる、あれは元の自分の器。
そこで真っ白になった記憶、そして今度はまた目の前で泣いてる



「白澤」
「ん、気付いた？」
「…………。」


ボーッとしてる頭、不意に出た言葉にベッドの横から顔を出した人物。



「3日も寝てるから心配したんだよ、麻酔量間違えたかと………」
「肩、悪かった…」
「良いよ、気にしてないし千景に付けられるんなら寧ろ嬉しいけどね」
「頭沸いたか？」

「酷いな！！………でもまあ、千景だって一応は…」

「わかってる。それに、俺は死なない。またやり直しは困る」



妖猫だが、今は。

猫の命は九つ、よくある話
今の身体になるまで、何度も転生して猫生を過ごしてきた。
その九回目で白澤に会って、その九回目は白い猫又だった。

といっても、たった2年の間に九回も転生した。しかも、それが神の手違いらしく

最終的に、今のこの身体に落ち着いた。



眠り過ぎによる少しの目眩、目を細めれば何も入ってない胃が動き鳴いた


「うん、大丈夫みたいだね。じゃあお粥作ってあるから持ってくるね」

「ありがとう…」
「いいよいいよ」


千景の額に手を当て、鳴いた音を聞いて笑って部屋から出て行った。
ベッドの横に置かれた大剣、手入れあの時からしていない
と、よく見ればあの時付いた赤も、ゴミも

何もついていない、手入れまでしてある。


「………」

「やっと起きましたか」
「仕事――…」
「大丈夫です、私一人でだって終わらせられます」
「……三日、俺が仕事交代するから寝ろよ鬼灯クン」


ほとんど音もなく部屋に入ってきたのは白澤ではなく、同僚の鬼灯
少しやつれた感じのする相手を見た。

どう考えても、俺の分まで全部やったんだろう

そのあとに白澤が戻って来れば、良い匂いに匂いを嗅ぎ耳を立てた。



「千景〜…ってお前何勝手に入ってきてんだよ！！」
「勝手もなにも、此処地獄ですし閻魔庁の中です。貴方に文句言われる筋合いありません」



怪我人前に喧嘩始めたが、俺にはお粥が待ってる。
腹減った、といえば白澤のその手に持ってたものを貰えた

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