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×月×日×曜日。晴れ。
「なあAさん、教科書持っとる?数学の」
「え」
そう、隣の席になって一日目の一時間目のことである。
早速彼は忘れ物をしてきたらしい。
意外と忘れん坊なのだろうか。
「一冊しか持ってないけど・・・」
「二冊持っとる人がおるかい。あのな、今日だけでええから見せてほしくて」
私の返事も待たずにガッタンガッタン彼は机を動かし始めた。
ぴったりくっついた机と机。え、え、うそ。うそだあ。
そしたら黒板にチョークを走らせていた先生もこちらの音に気付いたみたい。ずり落ちた眼鏡を掛け直して、大きな声を飛ばす。
「何や宮侑、教科書忘れてきよったんか」
「それがな先生。俺ノートも忘れてきてん」
「北に言いつけよ」
「勘弁してください先生え!」
北さん怒らすとむっちゃ怖いねん・・・とかなんとかぶつぶつ言ってクラスの皆を笑顔に包む。自然と宮くんの机の上には他のクラスメイトから支給された雑紙が積まれていた。
「ホチキスで綴じる?」
「この紙束?」
「うん」
「簡易ノートてか!頭ええなAさん」
ホチキスも貸してあげた。
あんがと、って返されたホチキスは少しあったかい。
って、何変なことを考えているのか私。振り払うように教科書のページをめくった。
やっぱりモテると言うだけあって、宮くんは格好良い。
変なこと考えちゃったって仕方ない仕方ない仕方ない。
だって無駄に顔が整ってる宮くんが悪いもの。
観察日記、案外たいへんかもしれません。
「あかんめっちゃ眠い」
「先生に怒られちゃうよ」
「もし寝てたらAさん起こしてや」
「ええ・・・」
そういえば宮くんは朝早い。因みに帰るのも早い。
朝も帰りも早いのはきっと部活のおかげだと思う。「高校生No.1セッター」っていう風の噂だけど・・・「眠い」って言った数秒後に爆睡するほど必死に練習しているのかもしれない。
そんな私の心配を知るはずもなく頬杖ついて寝始めた宮くんは、もうすっかり夢の中である。時折口をもぐもぐさせるのが何よりの証拠だ。
「宮くん、宮くん」
「んあ」
「おはよう」
そんなやり取りをこの一時間だけで5回以上はやった。
宮くんは
・皆の人気者
・良い意味でも悪い意味でも素直
・とっても話しやすい
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かわや - まじで面白いです! (5月6日 17時) (レス) @page26 id: da31ddeb4b (このIDを非表示/違反報告)
シノメ(プロフ) - REOさん» 本当ですか!?ありがとうございます!(;;)侑くん格好良いですよね...おかげで妄想が進みます(笑)先刻二部を公開しましたので、是非ご覧下さい! (2019年9月21日 16時) (レス) id: 56e895e066 (このIDを非表示/違反報告)
REO - すみません、めっちゃおもしろいです!あと侑がイケメンです!続きまってます! (2019年9月20日 18時) (レス) id: ae6187a256 (このIDを非表示/違反報告)
シノメ(プロフ) - 來さん» 嬉しいです!ありがとうございます...!おそらく二部公開は今週末になりそうです!長い間お待たせして申し訳ありませんが、もう少し待っていてくださいね! (2019年9月17日 17時) (レス) id: 56e895e066 (このIDを非表示/違反報告)
來(プロフ) - キャラクターが可愛い!!もうそれしか言えないです。夢主ちゃんも人間味があってとても素敵でした!二部も楽しみにしています、頑張ってください!! (2019年9月15日 22時) (レス) id: 5f382bf3f2 (このIDを非表示/違反報告)
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