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「ただいま、っと。」
鍵を開けて、ひとりで喋ってた。
ちょっと前までは、無言で、真っ暗なことが当たり前だった。
たった半月そこらで当たり前が変わった。
コイツとリラが居る部屋。
ただ、音楽がやりたかった。
だけど周りは反対した。
" 俺を心配してくれているんだ " と理解はできたが同時に " お前には無理だ。" って自分を否定されたようで。
だから、家を出た。
一人でやってくのは簡単じゃなかった。
食うために、住むためにで精一杯で。
やっとマシな生活ができるようになると、今度は必死に音楽をやった。
何度も崩れそうになりながら、それでも俺を、俺の夢を否定した人の元に戻ることは絶対に嫌だった。
諦めるなんてできなくて踠いた。
音楽で食えるようになって、平穏が訪れたかと言えばそんなわけはなくて。
スラスラ浮かんだかと思えば、全く浮かばない。
" 自分は天才だ " " いや、才能なんて無い "
日替わりで変わってく情緒。
見返してやるってがむしゃらにやって、いざそれができるとなったらなんかバカらしくなって。
原動力みたいなもんが無くなって、
これからは何を思ってやってけばいいのかって。
ただ好きで始めたのに、やりたい事をやってるのに。
理屈とか探してる自分に呆れ始めてた。
そんなとき出会った、リラ。
感情も表情も出さない、人形みたいな女。
どこかでほっとしてた自分がいた。
いろんな人間がいて、俺も自分が思うほどおかしくはないのかもと。
だけど、蓋を開けてみれば、誰よりも人間だったリラ。
欠落しているように見えるものは、本物でなければ必要のないものなのかもしれない。
わかりきった方便や、安っぽい愛想笑い。
女が武器のように使うウソの涙。
欠落してるのはソイツらの方だ。
そんなものいらない。
大事なものを持ってるリラがそばに居ると、
俺も大事なものを見失わないでいられる気がしたんだ。
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sayu_(プロフ) - 22.2.22 次のページへの送りボタンの表示がおかしくなっていため修正させていただきました。 (2022年2月22日 18時) (レス) @page1 id: 70f7b238b7 (このIDを非表示/違反報告)
sayu_(プロフ) - 読んでくれた方。お気に入り、評価してくれた方。ありがとうございます! (2021年4月17日 5時) (レス) id: 70f7b238b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:sayu_ | 作成日時:2021年4月16日 21時