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:59 _JK ページ19

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「リラちゃんのため?

お前はリラちゃんがどんな生活を送ってたか
知っていたのか?」

ヌナの生活?


「リラちゃんを引き取った方とは以前仕事で関
わったことがあって顔見知りだった。

奥さんがリラちゃんの母親の従姉妹だったの
は後でわかったんだが...

母さんがリラちゃんを拒絶するようになって
から、やはり心苦しくてな...
息子がリラちゃんと同級生だと話しかけてみ
たんだ。

愕然としたよ。

押し付けられて仕方なく引き取っただとか、
いちいち金がかかるだとか...

高校卒業までしか面倒は見られないから、
住み込みで働けるところを見つけろと言ってあ
ると。

腹が立って、何か言ってやりたかった。

だけど、私だってこの人と同類だと思った。

それからリラちゃんの学力なら奨学金を受け
られるだろうし、寮もあるからと大学の話も
したよ。

だが聴く耳なんて持たなかった。就職させるの
一点張りだった。

私の伝手を頼ってやっと福利のしっかりとした
会社を見つけて紹介したんだ。」



そんな... ヌナは世話になってる親戚には良くしてもらってるって言ってた。

出てけと言われてたのか?

ヌナからそんなこと、ひと言も聞いた事はない。


この人達が全部仕組んだわけじゃなかった?



「知らなかったみたいだな。

確かに母さんはリラちゃんの母親に、そして
リラちゃんにまで酷いことをしてしまった。

それを病気のせいにして許してくれと言うのは
勝手だと思う。

だけど、父さんは母さんがどうして心を病んで
しまったのかずっと見てきたんだ。

元々か細くて、身体も弱かった。
自分自身を守るため必死だったんだろう、まる
で別の人のようになって信じられない時もあっ
た。

お前には見えていなくても、そうなってしまう
だけの理由があったんだ。

だから父さんは母さんを守りたいと思う。

図々しくても家族であるお前にもわかってやっ
てほしいと願うのはおかしいことだろうか。」


見えていなかったもの。

そうなってしまった理由がある。


俺の知らない過去があって、

父さんは母さんを守ってきた。




それは、

俺がヌナを守りたいと思う気持ちと


何も変わらないのかもしれない。





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作者名:sayu_ | 作成日時:2021年10月12日 3時

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