22 ページ22
.
そこには、『かわいい物』と書いてあった。
──かわいいものって……。
「私ではないな……」
流星くんが見せてくれた紙にそうこぼしていた。
「あ、そっか。Aさんは物やないもんな」
「そっ、そういうことやなくて〜！！」
私がかわいい訳ないからに決まっているのに……。
私が主張したいことを分かってくれないというか、心当たりさえ一切なさそうに首を傾げる流星くん。通常運転だ。
そんな中、近くから「好きです！」という男子の声が聞こえてきた。
そちらを見ると、どうやら借り物競争で共に走ってきた男女のようで、男子が九十度にお辞儀をしながら手を差し出している。そして女子はゆっくりと手を取り、歓声が上がった。
微かに私も、そうなりたいと願ってしまった。
「Aさん」
「な、なに？」
この流れで名前を呼ばれると──。
ドッドッ、と高鳴る胸を押さえ、振り返った。
「終了式終わったら、用具庫の裏で待ってて」
「あ……うん！」
「さっきの、サッカーの」
ゴールを決めたら流星くんのお願いを聞くという約束だったのだ。それのことを言っているのだろう。
「分かった」
┈┈┈┈┈
私たちのクラスの軍は第二位という微妙な順位ではあったが、皆が喜んでいたのでこれで良かったかなと思いつつ。各々解散という自由な形で終わったので、私は一人、用具庫の方へ急いだ。
思えば、用具庫の片付けをした後、彼の手を取ったのがこの気持ちの始まりだったのかもしれない。でもそれよりも、あの時かわいいものが好きと打ち明けてくれて、だから私のことが好きと言ってくれて。
でもその好きは、どういった意味か未だ分からないままで。
「…A」
彼の言葉、一挙手一投足にさえ翻弄されるんだ。
「お願いってなに？」
ゆっくり歩みを進める流星くん。彼を見つめたまま、そのまま、──彼に抱き寄せられた。
「これ」
「…え」
「抱きしめたくて」
私の肩に顔を埋めてきて、「はぁ」と安堵の息を吐かれる。鼓動は高鳴るという表現じゃ足りないほどに異常をきたしており……。
「Aさんが好きやで」
その異常事態は加速していく一方。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 427人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぴの山(プロフ) - み(名前)さん» こんにちは、それなら何よりです。。！読んでくださりありがとうございます！ (2022年8月14日 14時) (
レス) id: df2014b5f8 (このIDを非表示/違反報告)
み(名前)(プロフ) - 青色ジャス民です。めっちゃキュンしました (2022年8月14日 1時) (レス) @page28 id: 5d7aa8d35f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
