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ぎゅっと、流星くんに抱きしめられる感覚。全身が流星くんで溢れている。ああもう、どうにかなってしまいそうだ。異常事態に異常事態を重ねてどうしろって言うんだ。

──ここで私が、「私も好き」と口にしたら、彼はどんな顔をするのだろうか。そう口に出せないのは、彼はそういう人ではないからか、自分に自信がないからなのか。

( それでも……。)
彼にここまでされても、私は何も出来ない。

優しく抱き寄せられた感覚は、ふわり、ゆっくりと離れていった。

「明日、空いとる?」
「…うん」
「放課後二人でどっか行かん?」
「うん」

近過ぎる距離に悶絶する隙もなく、彼は「ごめん、委員会の仕事行ってくるわ」と手を振る。今度はちゃんと、ささやかでも何でもなく、手を振り返せていただろうか。


┈┈┈┈┈


くだらない恋愛ごっこだ。

私が流星くんと初めて話した帰り、女子たちに絡まれて、思ったこと。好きなら行動すればいいのに、いつまでも立ち止まる意味が分からない、と。

( 私は今…同じことしてる……。)
確信が欲しいなんてこれ以上のことはもうないはずなのに、未だに私から彼に近づくことに躊躇いを覚えている。

ふと寝転がったところに、ポメルンのクッションが目に入って、思わず抱きしめた。そういえば、初めて話した時、このクッションを見せるって約束していたんだった。

流星くんはただかわいいものが好きだからとか、そんな理由で彼から逃げてはならない。自分の恋心に気付いたのなら尚更。

私はクッションを見つめて、まるで神様にお祈りするかのように勇気をくださいと懇願した。

( 明日、想いは伝えられなくても……。)
自分から彼の手を握るくらいは許されるのではないか。私が彼の手を取ったように、私の手も彼に取ってほしい。

烏滸がましいなど、思案することの方が無駄なのだ。




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ぴの山(プロフ) - み(名前)さん» こんにちは、それなら何よりです。。!読んでくださりありがとうございます! (2022年8月14日 14時) (レス) id: df2014b5f8 (このIDを非表示/違反報告)
み(名前)(プロフ) - 青色ジャス民です。めっちゃキュンしました (2022年8月14日 1時) (レス) @page28 id: 5d7aa8d35f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴの山 | 作者ホームページ:.  
作成日時:2021年7月31日 16時

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