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ぷげーと不貞腐れる大毅は分かりやすく肩を落とし、「行く」と言って下唇をびーっと出したまま行ってしまった。
これは流石に悪戯心が過ぎてしまったか……。いやでも、ここで好きと言うのも違う気がするし、最早語弊さえ生みそうな気がするぞ。
うんうんと頷きながら私も歩き始めた。いちに、いちに、と一定の歩幅で歩を進めていくのだ。今日はなんだか日差しが強いなぁ…。
┈┈┈┈┈
学校に着くやいなや、愛しき先輩の逞しい背を発見した。今日も計算通り、と内心ほくそ笑みながら、別に待ってたわけじゃないし偶然だと自分の行動を正当化しつつ、後ろから彼に声を掛ける。
「照史先輩」
「お、Aちゃんおはよ」
先輩がこちらへ向きニカッと笑う。ああ、眩しい……学校中が明るくなったぞコレ、気温二度くらい上がったんちゃうかな？
その分け隔てない明るさと優しさで周りからの信頼を得ている先輩は、通り際に色んな人に挨拶をされ、これまた明るい挨拶を返していた。私はその隙に靴を履き替え、三年生のエリアに移動する。
朝学校へ登校してきて、昇降口から教室までの道のりだけは、私と照史先輩二人の時間なのである。まあそれは、偶然会ったかちょっとそこまで的な訳だけど。それ以上などないんだけど。
( でも、少なくとも私は……。)
それ以上などある。ありまくり、ありよりのありだ。
まだ好き、大好き！もう照史先輩しか見えない！とか盲目的なほどではないけれど、付き合えたら素敵だなと思う。きっと毎日楽しくて、朝の準備も更に張り切ってしまうだろう。
( それも悪くない……いや、むしろ良い……！ )
ニマニマしつつ、照史先輩に悪く思われないかと不安に思いながら足取りを重くした。
「じゃーな」
「あっはい！良い一日を！」
「Aちゃんもな〜」
ひらひらと手を振る照史先輩に手を振り返す。教室内が一気に騒がしくなって流石先輩だなと思いつつ、自分の教室へ向かった。
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