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なんとか部活を終えて家に帰ると、ポストから郵便物が溢れていた。開けてみると、大量の手紙が飛び出してきて、そこには全て『拝啓 俺のお姫様』と書かれていた。
近所迷惑になるからとなんとか全て回収し、リビングのテーブルにばら蒔いた。綺麗で堂々とした筆使いは、お姫様という字によく似合っていた。
見てはいけないと私の本能が言っていたから、そのまま晩御飯も食べずにソファに体重を預けた。眠気はすぐに訪れた。
セミの鳴き声で目を覚ます。体を起こしてみると、全て開封された手紙が目に入った。
「…………ぇ」
そこには、私へ向けた詩的なメッセージだけでなく、外や家など様々な場所から私を盗撮した写真が入っていた。
誰がこんなことやったの。だって、私はテーブルの目の前で寝ていたから、近くに人が来たら気が付くかもしれないのに。
本能のままに叫んだ。セミの声とエアコンの稼働音に掻き消されると思った。
「だ、だれ、なの……」
手紙も写真も、テーブルの上から払い除けるように、もう二度と私に近づかないように落とした。床に弾む音が不快だった。
一番下に沈んでいたメッセージだけが、テーブルに貼り付けられていて、嫌でも目に入ってきてしまったのだ。
『ガラスの靴は元に戻しておいたよ』
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作者名:ぴの山 | 作成日時:2021年8月8日 15時