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何処にしまったっけ、とリュックを探すが、いつものサイドポケットにも、教科書の間にもない。
「あれは?スカートのポケットとか」
神山くんに言われた瞬間、そうだったと思い出す。神山くんはやはり、なんでも分かってくれる。
この通知音が何なのかなんて分かってるけど、通知がいつまでも残ってるのが嫌で毎日開いてしまう。
『ちゃんと来てくれて嬉しい。俺の可愛い操り人形さん』
背筋がゾッとした。それはまるで、重岡くんの態度が一変して、私に頻繁に話しかけてくるようになった時の感覚と似ていた。
「…A?」
「え、あ……」
今まで真に受けずにゴミ箱に流していたそれが、急に怖くなった。私が屋上に来るように誘導して、実際屋上に来たことも知ってる。
「りゅ、せ…」
神山くんがいることも忘れて、目の前の流星に縋りついてしまった。急に周囲全てが敵に見えて、もう流星しかいないって思ってしまって。
それから、HR開始を知らせるチャイムが鳴るまで、ずっと流星と二人でいた。神山くんはいつの間にかいなくなっていた。
「…何かあったん?」
流星が優しい声色で聞いてくれるから、思わず言ってしまいそうになる。でも、ここまで甘えておいてメッセージのことを言いたくない気持ちが強かった。
既に流星に心配を掛けてるというのに、これ以上心配させたくないって思いが先行して、首を振った。
セミの鳴き声がうるさかった。
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作者名:ぴの山 | 作成日時:2021年8月8日 15時