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靴箱の中から古くなったものを履き、リュックを背負う。ガラスの靴を持って外に出ると、流星がこちらに手を振った。
「Aおはよう」
側溝を開けるにはどうしても手間がかかってしまうから、雑草の生えた一帯にガラスの靴を投げ捨てた。
「え、A、何やってるん…?」
慌てる流星。やっぱり流星は、メッセージの送り主じゃないんだと再確認する。
「私の物じゃないから」
「まあそれは、そうかもしれんけど…」
流星は多分、私がそこら辺に物を捨てるなんてと思っているのだろう。でもゴミに出す手間が勿体ないほど、このガラスの靴は私にとってトラウマ級の物でしかないのだ。
いつも別れる場所で立ち止まらずに歩くのには、結構な勇気が必要で。止まりそうな私を、流星が引っ張ってくれた。
昨日のように神山くんに声を掛けられるか心配だったけれど、学校に着くまで誰にも話しかけられなかった。
つまり、学校に着いた途端に話しかけられたというわけだ。
「Aちゃんさ、流星くんのこと好きなん?」
「…え?」
「流星くんはみんなの流星くんやからさぁ、調子乗らんといて!」
その瞬間、彼女がバケツをひっくり返すのが見えた。
けれど、冷たい感覚はほんの少ししかしなかった。誰かが私に覆い被さったからだと気づいたのは、女子が悲鳴をあげてからだった。
「…何してんの?」
神山くんだった。
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作者名:ぴの山 | 作成日時:2021年8月8日 15時