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コツコツとクエストを繰り返し行い、ボス戦に挑む。二人で協力しながら勝てたときは、思わずガッツポーズをしてしまった。
「ようやったな!!」
「うん、クリアできてよかった…!!」
私がファンの時にこのゲームをしていた時はもっとやり込んでいたが、一人でコツコツとプレイしていたので、やはり誰かと共にクリアするとなると達成感や喜びが段違いだ。
「あー、てか今日誘って大丈夫やった?無理せんくてええからな」
神山さんの操作キャラが動きを止めたかと思うと、携帯越しに神山さんが申し訳なさそうにそう言った。眉を下げ、顰めた神山さんが目に浮かぶ。
「ううん、私も返信遅れてもうたし…帰ってきてすぐ寝ちゃって」
「そうなん?ごめん、知らんくて…疲れてるやろ?今日はこれくらいにして…」
「いや、あの…神ちゃんがいいならもう少しお願いしたいんやけど」
迷っていた際に「いや」と口に出してしまい、烏滸がましいながらもそんなお願いをしてしまった。神山さんは快く「うん、勿論!」と引き受けてくれた。
そのあと、いくつものクエストとボス戦を繰り返し、キャラの衣装もいくつか手に入れることができた。
「今日はほんまありがとう」
「いや…こちらこそやで」
「キーコいつもとちょっと声違わへん?風邪?」
神山さんの予想外の言葉に、押し黙ってしまう。神山さんの優しい声を聞いて、込み上げるものがありすぎて目頭が熱くなってしまったのだ。情緒の不安定さに嫌気がさして、でも神山さんには知られたくなくて隠していたのだけれど。
「風邪なんかな?鼻はめっちゃ詰まっとる」
「キーコすぐ鼻すするからなぁ、ティッシュでチーンせんとあかんからな」
「うん、ごめん…ありがとう」
ゲームの電源を落とし、「じゃあ」と別れを告げ通話を切ろうとしたその時、神山さんが「あ」と声を漏らす。
「前にも言ったけど、悩んでることあったら言ってな。ほんと、些細なことでもなんでもええよ。神山の神の部首ってなに?とかさ」
私は、もともとただのファンでしかなくて、ジャニーズWESTのためにできたことなんかないし、ジャニーズWESTの皆さんに優しくされることをしたのは私ではなく、メンバーとして活躍していた私。メンバーの立場だけを得た私が優しくされる義理なんてないのに、優しくされてしまって、また気持ちが複雑化していって、ただ「うん」と頷くことしかできなかった。
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るな(プロフ) - もちろんです!これからも応援してます! (2021年4月28日 23時) (レス) id: 8624103a6b (このIDを非表示/違反報告)
ぴの山(プロフ) - るなさん» ありがとうございます〜!最後までお付き合いいただけると嬉しいです…!! (2021年4月28日 21時) (レス) id: 54952e91f1 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - ものすごくストーリーが好きです!何度も読み返してます!毎日更新楽しみにしてます! (2021年4月28日 18時) (レス) id: 8624103a6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:__ | 作成日時:2021年4月10日 18時