45 ページ45
.
私が活動再開した時の反響はとても大きかったらしい。ファンの方がSNSを盛り上げてくれたり、各局のスタッフの方から連絡が来たり、その期待に答えなければならないという使命感が芽生えた。
遠くから何やら曲が聞こえる。ゆっくりと意識が現実へ引き戻される。携帯からone chanceが流れていて、急いで体を起こして着信に出た。
「おは〜起こしちゃった?」
「うん、今起きた。でも大丈夫」
今日はW troubleの生配信の日だ。この日までに歌やダンスの練習は勿論、MCや移動の予行練習、話すことを沢山考えたりとこれまでに沢山努力をしてきた。今なら自分を信じて、ステージに立てる気がする。
「緊張してるか?」
「してる、初の生配信やし」
ある意味何が起こるか分からない。けれどそんな不安を感じないくらいに、自分は努力をしてきた自信がある。
「でも大丈夫。リハーサルのときも勿論それ以外でも皆がいてくれたからここまで来れたし」
「へへ、嬉しいなぁ。でもな、俺らもAに励まされたこと沢山あってん」
だからありがと、と明るい声色の向こうに、しげの元気な笑顔が見えた気がした。
それから数時間話し込んで、会場に移動するべく切ることとなった。じゃあねと別れを告げると、少しの間のあとにしげがこう零す。
「前に無理に笑わんくていいって言ったけど、笑いたい時は思いっきり笑ってな」
「うん、今日から三日間は思いっきり楽しむ」
よかったぁと安堵したしげがばいばぁいと言うので、今度こそ通話を切った。指輪を付けて、チョコを食べて、マネージャーが待つ車へと向かった。
「いよいよ今日ですね」
振り返ったマネージャーが笑顔になる。この日のために差し入れや水の配給、スケジュール管理など難なくこなしてくれた。
「今日までいろいろありがとうございました」
「いえ、私は小泉さんのマネージャーですし、八人でW troubleをやるということがとても嬉しくて」
配信楽しみにしています、そう言ってくれたマネージャーの方は、どうやら家族で生配信を見てくれるようだ。大勢の人が今日から三日間の生配信を見てくれる、その期待に答えなければ。
.
120人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
るな(プロフ) - もちろんです!これからも応援してます! (2021年4月28日 23時) (レス) id: 8624103a6b (このIDを非表示/違反報告)
ぴの山(プロフ) - るなさん» ありがとうございます〜!最後までお付き合いいただけると嬉しいです…!! (2021年4月28日 21時) (レス) id: 54952e91f1 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - ものすごくストーリーが好きです!何度も読み返してます!毎日更新楽しみにしてます! (2021年4月28日 18時) (レス) id: 8624103a6b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:__ | 作成日時:2021年4月10日 18時