な ページ3
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入院申込の書類を記入し、ようやく入院の手続きが終わると私は看護師さんに個室の病室へと案内をされた。
看護師さんが席を外し、スマートフォンのトークアプリの通知を確認すると、何となく予想はついていたけれど両親からの返事は無かった。
そして鬱くんからは『入院！？とりあえず荷物今から用意して行くわ！！！！』と、慌てた様子の返事が返ってきていた。
病室でしばらく鬱くんがやってくるのを待っていると、「Aちゃん！頼まれた荷物持ってきたで！」と鬱くんが駆け込んで来た。
私は本人には隠しているけれど、実は鬱くんの事が好きだ。
鬱くんは幼い頃からプレイボーイで、常に女の子の影がある。付き合っている女の子が定期的に変わるけれども、途切れた話は聞いた事が無い。
私の家にご飯を食べに来るなり、誰かとデートをしたと言う話を何度も聞かされてきた。
告白をしようと思った事もあったけれど、誕生日やクリスマス、バレンタインなどのイベントには鬱くんの隣には可愛い子が側にいて私には間を割って入る勇気は無かった。
もう何年私が鬱くんに片想いをしてきたのか、数えるのはもうとっくの昔に諦めた。
こうして鬱くんが私の為に走って来てくれるだけで嬉しい。
「鬱くん、病院では静かにしなきゃ」
鬱くんは「ごめん、Aちゃん」と言って、声のボリュームを落とした。
ut「これ、Aちゃんから頼まれた荷物。Aちゃんが急に入院とかびっくりしたわ」
「ありがとう、鬱くん。私もびっくりしたよ、いきなり入院だなんて…。またこうして荷物持ってくるように頼むと思う、ごめんね」
ut「ええよ、これぐらい。おばさん達ここから遠いから来れんのやろ？」
「ありがとう、助かるよ。荷物持ってくる時はこれ使って」と言いながら私は念の為に鬱くんに家の鍵を預けておく。
「あと入院するのに保証人の記入がいる書類があって、鬱くんに書いて欲しいんだ。次に荷物頼んだ時に持って来てくれたらいいよ」
ut「分かったわ。Aちゃん、ちなみに病名はなんやったん？」
聞かれたくない質問だっただけに、「えっと、何だっけかな…」とはぐらかす。
ut「まぁ、僕に言いたくなかったらええけど。Aちゃん、あんま無理したらあかんで？」
「うん、ありがとう。鬱くん」
「とりあえず僕、動画の編集残ってるし帰るなと言って、鬱くんは動画の編集の合間に飛んで来てくれたようで、慌てて帰って行ってしまった。
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