解けない鎖が心に絡み付いた

▽ Alan side ページ3

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七瀬｢あれ、亜嵐くん？｣





懐かしい声が聴こえたな、と思ったらシガレットケースを片手に高いヒールを履きこなしてる美人が俺の方を見ていた。





白濱｢……音子ちゃん、久しぶり｣





さっき楽屋に来てたけど声をかけられなかったのはAがいたから。





七瀬｢ねぇ、Aちゃんと付き合ってるの？｣


白濱｢うん、そうだよ｣


七瀬｢……ふーん、｣


白濱｢音子ちゃんは？新しい彼氏とか、出来た？｣





聞いてからしまったと思った。




音子ちゃんの優しかった目がキツくなって俺を睨んだ。





七瀬｢私と涼太くんにその質問は、タブーだと思うけど？｣





ふっと自嘲気味に笑い、右のピアスをいじった音子ちゃんに背筋が凍る。





白濱｢あ、ごめ、｣


七瀬｢私はいいけど、お願いだから涼太くんの事は傷付けないでよね。｣





音子ちゃん、性格変わったなぁって改めて思う。




昔は泣き虫でキョロキョロしてたのに今じゃしっかりと背筋を伸ばして上を見てる。





白濱｢うん、気を付けるよ。｣


七瀬｢それじゃあ、お幸せに｣





その言葉の重みは多分、俺らがよくわかってると思う。






…───── 叶わない恋をしたからこそ言える、“お幸せに”っていう言葉が、俺を強くさせた。







白濱｢絶対、こっち向かせてやる。｣




事務所の廊下のど真ん中。




1人ガッツポーズをしてニヤけてるこの時の俺はまだ知らない。









……叶わない恋だって、あるんだってことを。









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