解けない鎖が心に絡み付いた

▽ You side ページ20

.









目が覚めて真っ先に飛び込んできたのはきっと天井であろう、ただ真っ白な光景。


すぐ右側が真っ白な壁で、左側はスペースが空いている。




……ああ、私、トイレで吐いて倒れたんだ。


そっとなにもない右腕を上に伸ばしてみるけど何も掴めない。




左腕には点滴が繋がれてるし。


私、どこか悪いのかな。




枕元に置かれたナースコールを押してみればナースの人の声が聞こえてきて医者とすぐ来る、とのこと。





──────────コンコン、





本当にすぐ来たその人達に優しく微笑まれるけど、気持ち悪い笑顔も全部仕事なんでしょ。





｢おめでとうございます｣


『……は、？』


｢────────────3ヶ月、ですよ！｣





なにが、おめでとうございます？なにが、3ヶ月なの？





『……は？』


｢妊娠、してますよ。｣





妊娠…にんしん、ニンシン、つまり、つまり私のお腹の中に赤ちゃんがいるってことで。


それは紛れなく亜嵐との子供ってわけで。





｢お相手の方は、｣


『いません。いりません。堕ろします。いらない、こんなの、いらない！！！！！！！』





一気に恐怖で身を包まれた。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ、なんで、なんで私に子供？いらない、こんなのいらない、……望んでなんか、ないのに。


普通子供が出来たら喜ぶんだろう。なのに、なのになんでこんなにも新たな命に怯え、嫌悪感を抱いているのか。




頭の中が真っ白になってどうしよう、しか思いつかなかったけれど時間が経てば嫌でも冷静になって。




とりあえず、私にそんなお金は無いから亜嵐にでもお金もらって、堕ろそう。そんなことを思っていた。






そう、至って私は冷静だった。




.

▽→←▽

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す