少女と幽霊達の膝栗毛 4 ページ5
「お願いだからいい子にしていなさいよ」
千草色の狼はそう注意したが、当の本人は駆け出していた。
メディコ「遊ぼうよ、交ぜて!」
「ちょっと...!もう...」
子供達の輪に入るメディコは、1人の男の子に目をつけた。
メディコ「へぇ、写真持ってるんだ」
写真を持つ紺青色のジャガーの少年は、見たところ10歳にも達していない。この子は病死したのだろう。顔色が悪いのが見て取れる。
「うん、これはね僕のママだよ」
メディコ「ママにそっくりだね」
「ママはね、おまわりさんなんだよ。僕、そんなママが大好き」
メディコ「そう、そのかっこいいママの名前は?」
「名前はね...」
「ねぇお姉ちゃん、遊ぼうよ!」
「遊ぼ!」
メディコ「よし、遊ぼう!」
そこへ、子供達と戯れ始めた様子を遠くから確認する男が。
「こんな所に...」
呆れて溜息が漏れ、注意しに向かった。すると
「あ、おじさん危ないよ」
「なんだ...ぶっ!」
その声の方に目を向けた途端、顔面にボールが直撃した。あまりの痛さに思わず膝から下がってしまった。
「わーい!説教おじさんやっつけたー!」
「1人ぼっちのおじさん、あっかんべー」
子供達の無邪気な嘲笑に震えるものの、理性で抑えつけて立ち上がる。投げた張本人は笑っているメディコだった。
メディコ「おじさん、ついて来てくれたんだ」
「流石お姉ちゃん!僕もやっつける!」
と、ジャガーの少年はボールを手にした時だった。
「こら」
と、ボールを取り上げる男。警官の服を着ている。殉職したのだろうか致命傷を負っている。
メディコ「警察の幽霊だ...」
とメディコは呟く。
「傷つけて楽しむのは悪い事だぞ。君のママも喜ばない。君達も反省するんだ」
そう諭された少年は素直に認めた。子供達もだ。
「そうだね、ごめんなさい」
警官の男はメディコに向かって言った。
「メディコ、だな。どういう扱いになるのか分からないが、ちゃんと反省してくれる事を願っているよ。僕もこの子も、近いうちに別の場所に行く事になる」
メディコ「...天国ね、聞いたわ。まぁ、楽しんできてね」
「さぁ、行こうか」
「うん、ママのフィアンセさん。お姉ちゃん、バイバイ」
メディコ「バイバイ」
少年は警官と手を繋いで去って行った。仲が良く、まるでなるべきだった親子のようだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ルツ・ヒューイット(プロフ) - ぼうきれ/新藤緋色さん» 最後までお読み下さり、ありがとうございます(^^)オムライスの質問、こちらもご返答ありがとうございます＾＾ (2021年6月27日 18時) (
レス) id: d8efa9f421 (このIDを非表示/違反報告)
ぼうきれ/新藤緋色(プロフ) - 面白かったです！ ちなみにオムライスは後者が好きです (2021年6月27日 18時) (レス) id: 9dfed805b5 (このIDを非表示/違反報告)
ルツ・ヒューイット(プロフ) - 久し振りのドレミファソラル様とのコラボ話、連載スタートです!推敲しながら進めるので、やや更新頻度が遅くなるかもしれませんのでご了承下さい(土下座)。ドレミファソラル様のオリキャラ、スペンサー・ホームズ君と私のオリキャラ、シシィ出演のほのぼの短編です。 (2021年6月14日 8時) (レス) id: d8efa9f421 (このIDを非表示/違反報告)
ルツ・ヒューイット(プロフ) - ぼうきれ/新藤緋色さん» ありがとうございます！^ ^嬉しいです (2021年6月6日 6時) (レス) id: d8efa9f421 (このIDを非表示/違反報告)
ぼうきれ/新藤緋色(プロフ) - 面白かったです！ 四神ってやっぱかっこいいですね……ルツ様の発想力がとても羨ましく、また憧れます！ (2021年6月6日 6時) (レス) id: 873895aabe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
