オリキャラ短編集 17

少女と幽霊達の膝栗毛 17 ページ18

メディコ「わあああああああ！！」

見張り台にいた少女の悲鳴が耳に届いた。

ルカ「なんだ！？まさか...!」

慌てて駆け出し、扉を開ける。荒らされた一室はもぬけの殻だった。それを意味するのは。

オットー「遅かったか...」

威厳のある声が背後に響く。

ナオミ「オットー様...」

裁判官、オットーがそこにいた。彼は目線を向ける。

オットー「メノーレ。私が出る幕は最後でいいのか?」

傍には郵便配達員の青年がいた。

メノーレ「そうだ。...少し離れる。私のやる事は多めに見るように」

郵便配達員は要領を得ない意味深な発言をすると、すぐに立ち去った。

オットー「貴殿達はここに留まるように」

ルカ「え?...オットー様、何故に...」

裁判官は厳格な緑の瞳を向けた。

オットー「不始末は見逃してやる。今回だけだ」

オットーは杖を地面に突くと、辻風が沸き姿を消した。


メディコは悪霊に連れ去られていた。

メディコ「私を連れて、おじさん何するの！？」

「煩い！！ガキは大人に従うだけでいいんだよ！！」

メディコ「大人だって大人に従ってるじゃない!」

「黙れ！！」

子供の正論に大人気なく怒鳴ると、メディコは地面に叩きつけられた。そして頭に衝撃が走った。

「おい、とっとと俺を蘇らさせろ！！」

足で踏みにじられ、メディコは顔を上げられない。

メディコ「やだ！！おじさんは悪いおじさんだから!」

「あ！？何様だテメェ！！」

今度は頭を鷲掴みにされながらも、反論する。

メディコ「メディコはメディコ。神様でも何様でもない」

「うるせぇ！！蘇ったら、あのクソガキを殺す！！生きていたらな。死んでいたら存分好きなだけ生きてやる。今までで不遇だった俺の人生を...」

だがその時、別の声が聞こえた。

「何先走っているのよ！！私こそ生き返ってやる！！」

女の声が終わるや否や、メディコの片腕が引っ張られた。男も渡さないとばかりに、もう片方の腕を握ってきた。左右に強く引っ張られるメディコは流石に喚いた。

メディコ「痛い痛い！！離して！！」

だが2人には届いていないようだった。

「私が蘇って幸せに生きたいの！！」

「俺だってその権利がある！！お前に渡すか！！」

駄目だ。己の憎しみに忠実で理性が無い。これが本物の悪霊だと悟った。心に恐怖が初めて芽生えた時だった。

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