少女と幽霊達の膝栗毛 14 ページ15
それを聴いた2人は最悪の予感を思い起こす。傲慢不遜で狡猾、児童や狂人より不埒で本能的な彼等が思い浮かぶ目的を。
ルカ「ともかく、君はここにいなさい。出ようなどと思うな」
メディコ「なんで?」
少女にしては間延びした言葉に、彼女は訊ねる。
ナオミ「なんでって...貴女、自分が置かれている立場があまり分からないの?」
いくら子供とはいえ、危機感を少しでも学んで覚える歳だ。
メディコ「分かるんだもん、それに怖くなんてない」
メディコは立ち上がり、窓の景色を眺める。先程のコミュニティの街並みが望める。
メディコ「施設の職員と変わらない。私を襲って殺した彼等も同じだと分かった時、怖くなかった。本当、生者も死者も自分勝手ないじめっ子ばかり。皆がどう思うか分からないけれど、私は当たり前だと思っているよ」
少女とは思えない達観した口調だ。狂っていると言うよりも、無慈悲で過酷な環境で恐怖や悲しみといった感情が一部鈍磨されたと言ってもいい。
メディコ「だから、今度は悪霊に殺されるんでしょう?あ、もう私死んでるんだった」
そう言って笑った。
メディコ「死んだら元も子もないのにねぇ」
ナオミ「よく聴いて」
メディコは相手の真剣な顔に微笑み返す。
ナオミ「貴女を殺すよりも、もっと恐ろしい事よ」
メディコ「なあに?教えてよ」
すると
「来たぞおおおお!」
役人の叫びが耳に入る。
ルカ「何とか説得してみよう」
ナオミ「私も行きます」
見張りの番の妻は、現世で撮った写真を見る。成人した青年がそこに映っている。
ナオミ「シシィ、お母さんとお父さんは行ってくるわ」
呼びかける言葉からして、生き別れた親子だと分かった。そういえば、ヘリックス夫妻もアクイフォリウム夫人も子供がいると聞いたような。2人がいなくなると
メディコ「私は留守番か...初めてだわ」
少女は、ふふふと笑った。
メディコ「そういえば...」
自分の手の平を見つめる。あの力は健在だろうか。蘇生の魔法は、このところ発動していない。だが、それは裁判官が魔力で抑えている訳ではない。取り上げられたのではない。ここに来てからのつまらない日々、そして死神達が離れた後の楽しい時間で、使う事を忘れていた。
メディコ「もう1度、やってみようかな...」
もしまた発動したら、烈火の如く皆から怒られるだろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ルツ・ヒューイット(プロフ) - ぼうきれ/新藤緋色さん» 最後までお読み下さり、ありがとうございます(^^)オムライスの質問、こちらもご返答ありがとうございます＾＾ (2021年6月27日 18時) (
レス) id: d8efa9f421 (このIDを非表示/違反報告)
ぼうきれ/新藤緋色(プロフ) - 面白かったです！ ちなみにオムライスは後者が好きです (2021年6月27日 18時) (レス) id: 9dfed805b5 (このIDを非表示/違反報告)
ルツ・ヒューイット(プロフ) - 久し振りのドレミファソラル様とのコラボ話、連載スタートです!推敲しながら進めるので、やや更新頻度が遅くなるかもしれませんのでご了承下さい(土下座)。ドレミファソラル様のオリキャラ、スペンサー・ホームズ君と私のオリキャラ、シシィ出演のほのぼの短編です。 (2021年6月14日 8時) (レス) id: d8efa9f421 (このIDを非表示/違反報告)
ルツ・ヒューイット(プロフ) - ぼうきれ/新藤緋色さん» ありがとうございます！^ ^嬉しいです (2021年6月6日 6時) (レス) id: d8efa9f421 (このIDを非表示/違反報告)
ぼうきれ/新藤緋色(プロフ) - 面白かったです！ 四神ってやっぱかっこいいですね……ルツ様の発想力がとても羨ましく、また憧れます！ (2021年6月6日 6時) (レス) id: 873895aabe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
