オリキャラ短編集 14 (ページ42)

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業火 27 ページ42

もみくちゃになりながらも、レラは方向感覚を取り戻した。自分の背後に、演劇の舞台にも似た処刑場に気付く。ここで、魔女と決められた人が殺されるのだろうか。早く2人の元へ戻らなければ。そう思った時だった。更なる声が上がった。思わず処刑場を振り向いた。

レラ「え...?」

晴天の下、雲ひとつない美しい青空の下で見覚えのある少女が現れた。

レラ「ヴェレーノ...?なん、で...⁉」

これは白昼夢だろうか。それとも、まだ夢を見ているのだろうか。足が動かず、言葉もそれ以上発する事が出来ない。

「これより...ヴェレーノ・ヒュパティアを魔女とし、処刑する事にする‼」

役人の言葉で、現実に醒めた。

レラ「なんで...!なんでなんだよ⁉」

大声で叫ぶも、処刑場を取り囲む人達の歓声で掻き消される。

レラ「ヴェレーノ‼僕だよ‼気付いてよ‼」

張り裂けんばかりに叫ぶ。手を伸ばす。
しかし、当の本人には届かない。

レラ「お願いだから...‼僕に気づいて‼こっちに来て‼」

役人は何かを取り出した。見たところ、貝殻のようだった。

ヴェレーノ「何するのさ?そんな沢山のちっぽけな貝殻で。真珠なんて無いじゃない。おまけに身なんて無いから食べられないじゃん」

「簡単に死なせると思ったら、大間違いだ。
...貴様を生きたまま、このよく切れる貝で...」

ヴェレーノ「なっ...!」

「魔女になった事を後悔しながら、死ねばいいさ」

ヴェレーノは、唇をかみしめた。そして

ヴェレーノ「ふ、ふふふ...」

不意に笑い出した。その笑みは大きくなり、遂には大笑いに変わった。

ヴェレーノ「あっははははははははははは‼」

突然の豹変に、人々は静まり返る。

レラ「ヴェレーノ...⁉」

ヴェレーノ「私の面白い最期じゃない‼よく考えたね...。お礼に、面白い予言を言ってやる」

息を整えて、そして叫んだ。顔から笑みが消えてきた。怒りとも嘆きとも取れる顔で。

ヴェレーノ「私の死で...この町は、滅びる‼
学問と芸術の町ともてはやされたこの町は...私と共に死ぬわ!業火に焼かれながらね‼」

「狂った戯言を言うな‼」

役人に押さえつけられる彼女。それを見た少年は、助けようと踏み出した瞬間、腕をまた掴まれた。