オリキャラ短編集 14 (ページ32)

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業火 17 ページ32

レラは思わず視線を落とし、肩を落とした。
どれ程考えても、結局思い浮かんだ幾つかの案は、実現不可能と共に霧のように消えた。

レラ「...何も出来ないなんて...」

誰も、力になってくれない。町の人達は上を恐れる故に、あのように臆病な傍観者に成り果てたのだ。いや、魔女狩りを行う国々に住まう人達も同じだろう。他人より我が身が大事だ。
たとえ友人や家族が連れて行かれそうになっても、己の保身を優先して見捨てるだろう。
この場にいたたまれなくなり、レラは外へ飛び出した。

アイリス「レラ君...」

ゲオルグ「...」

少年は嗚咽を漏らしていた。誰もいない街の片隅の路地で。

レラ「僕は、馬鹿だ...」

昔からそうだった。容姿はパッとせず、内向的で身分は低い方であったが、本が好きで皆の為になる事を精一杯やるような、自他共に認める優しい性格だと思っていた。が、他人や空気に押されて、反抗するような事は無かった気がする。親友を助ける事が出来なかった自分を、また非難した。

ヴェレーノ「結局こうなるなんて...」

牢屋に入れられたヴェレーノは、不満げに呟く。

ミストレス「貴女、幾つなの?若そうに見えるわ」

ヴェレーノ「へ?16歳ですけれど...」

ヴィルヘルム「16...!これまで多くの者が、この塔へ連れ込まれたが、君のような最年少はいなかったぞ」

ヴェレーノ「え、マジ...?」

キャヴェル「おいおい...また女が増えやがって...」

バーソロミュー「そんな事言うなって」

アクトレス「これで...6人になったわね」

狭くて不衛生な牢屋で、食事も貧相で、連日に渡る拷問と尋問。普通ならば瞳から光が消え、精神崩壊になってもおかしくない。
彼等はかろうじて、精神を強く保たせていた。

ヴェレーノ「この塔について、ある程度知ってるよ。知っていたけれど、ここまで汚いなんて...」

キャヴェル「...昨日は、死人が出た」

青年は語った。

キャヴェル「年寄りと、俺くらいの女。前者は拷問死。後者は傷の悪化。処刑よりも最悪だ」

ミストレス「この塔での死因は、大まかにこの2つに分けられるのが分かったの。...私は、何度も訴えたのよ。彼等と私達を処置してくれる
医師を呼んでって。...『魔女を生かす医師などいない』って言われたわ。本当、私達を何だと思っているんだか」