冥府の悪霊達 14 ページ14
どうしたものかと、パーシアスの母は戸惑っていた。息子は悪霊の威力と襲われたショックで、気を失っている。彼女はあの時、意識を失った我が子をすぐに助け、遠くへと運んだのだ。
「......パーシアス...」
思いもよらず再会した、再会してしまった息子は強い意志を宿した明るそうな少年に成長していた。17歳に見えるその顔を、そっと撫でた。不思議な事だ。あれ程恐れていたはずなのに。いざ会ったら、氷菓子が舌に溶けるように消えた。いや、あの日に命を絶ち、冥府に留まる事を言い渡され、自ら孤独に過ごしていくうちに後悔に苛まれていた。自ら命を絶った罪だけではない。あの日息子に言ってしまった呪いも、自分がおかした、我が子に対する酷い仕打ちを。
「ごめんなさい...。許してくれないのは、分かっているの...。もう...何もかも遅くなっちゃったわ...。今更私が悔いていても、最初からやり直せないのは、分かっているの...」
そう言って、静かに涙を落とした。亡霊の落とす涙は、地面に着く前に蒸発して消える。
「だからお願い、起きて...。目を覚まして。起きて、今までの恨みを出して。お母さんは、何もかも全て受け止めるから...。こんなにも酷い母を、笑って貶しても...許してあげるから...」
「こちらには慣れたか?もう5年以上もいるが、何も変わってはいないな」
冥府の役人が呆れたように、ある夫婦に呼びかける。落ちてもいさかいを起こしてばかりいた問題夫婦を、裁判官のオットーは無理矢理引き離しておいたのだ。すると、夫も妻も大人しくなった。己を見直す良い機会を与えておいたのだ。そしてたった今、妻を夫の元へ連れて来た。少しは良い方に向かっていたのではと期待していたのだが。
「この
「開口一番がそれね‼あんたが地獄に落ちたと思って、清々していたのに...クソにも程があるわよ‼」
生前と変わらず酷く言い争っていた。死ねば己の罪をやっと認め、猛省して個人差があれど良い方に変わる。なのに、こんなにも全く変わらない魂なんてあったのだろうか。仮面夫婦以上の醜さだ。
「あ、お二人さん。あそこに誰か来るぞ。邪魔してはあれだから、お暇するよ」
そう言って離れて行った。
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ルツ・ヒューイット(プロフ) - 新藤息吹さん» ありがとうございます!アンテをもしやるとしたら、ずっと平和ルートばっかすると思います(笑)フラウィー戦もヒーローアンダイン戦もやりたい気持ちはありますが、やりたくないです(笑) (2018年11月17日 21時) (レス) id: 62681feacb (このIDを非表示/違反報告)
新藤息吹(プロフ) - 面白かったです!見事にUndertaleにハマりましたね… (2018年11月17日 20時) (レス) id: 4a72550ddd (このIDを非表示/違反報告)
ルツ・ヒューイット(プロフ) - すぐ終わるかもしれない話です(笑)一応、ホラーチックな(?)ストーリーになります。 (2018年11月14日 22時) (レス) id: 62681feacb (このIDを非表示/違反報告)
新藤息吹(プロフ) - 面白かったです!体を温めてゆっくり休んでくださいね! (2018年10月26日 18時) (レス) id: 4a72550ddd (このIDを非表示/違反報告)
ルツ・ヒューイット(プロフ) - 訳ありまして、私ルツは...『ルツ・ヒューイット』というペンネームに変えます。呼び方はこれまで通り『ルツ』で大丈夫です! (2018年10月13日 18時) (レス) id: 62681feacb (このIDを非表示/違反報告)
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