オリキャラ短編集 2 (ページ39)

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打ち明けてごらんページ39

ヴェレーノは、いじめに遭っている。陰湿ないじめだ。いつか、相手は飽きるだろうと思っていたが、何日も続くなんて思いもしなかった。
いじめられたきっかけは、何一つ無い。理由も無いのにいじめられるのだ。教師に相談しても、『いじめられる側に問題があるんじゃないか』と取りつく島もない。

ヴェレーノ「はぁ...」

家でも構ってくれない。忙しい両親は、娘の異変に気付いてくれないだろう。

「ヴェレーノ、どうしたのよ。元気が無いわ」

ヴェレーノ「お母さん...」

「病気なのか?それとも、学校で今日嫌な事があったのか?」

ヴェレーノ「お父さん...」

彼女は口を開いた。数ヶ月前から、いじめに遭っていること。教師は味方になってくれないと痛感した事を。

「...馬鹿」

母親が短く言った。それはそうだろうなとヴェレーノは思った。いじめられる側にも、問題があるんだからなと。

「どうして、そんな事を早く言わなかったのよ?一言でもいいから『苦しい』って。どうしてお母さんとお父さんに言わなかったの?」

真剣な眼差しで見つめてくる両親に、ヴェレーノは驚きを隠せなかったと同時に、涙がにじみ出ていった。

ヴェレーノ「だって...信じてくれないか、真剣に聴いてくれないと思っていて...」

「何を言うんだ!親なのに、子供の苦しみを知ろうとしないなんて、親失格だ!」

父親はそう言うと、こんな事を提案した。

「学校に行きたくないなら、引きこもるなり、違う学校に行けばいい。すぐ転学届けを出してやる。自分の心が落ち着くまで、自分の時間を過ごすんだ」

ヴェレーノ「え...?本当に...?」

母親も、娘に言った。

「よく、1人で頑張って...素直に打ち明けてくれたわね...。でも、全部の学校が今の学校なんて限らないわ。必ず貴女と勉強したり、遊んでくれる人が、1人でもいるはずよ。だから、これ以上苦しまないで...」

ヴェレーノ「お母さん...お父さん...」

彼女はやっと泣いた。そして、間もなく違う学校に転学した。優しくて、新しい友達が沢山でき、卒業してもいじめられる事は、無くなった。いじめの被害者は、決して悪くない。
加害者は、自分の行いに正当性を主張する。
複雑な問題だが、被害者に落ち度はないと信じる事が、一番の励まし方だ。
近くにある救いの手を、差し伸べよう。