オリキャラ短編集 2 (ページ33)

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オリキャラ昔話特別編醜いシンデレラと灰被り悪魔 4 ページ33

デイジー「灰被り悪魔...か」

帰りの車に乗って、窓の景色を眺める。
虐げられたシンデレラは、王子と結婚する。
その話が、昔から気に入らなかった。あまりにも面白くなかった。

デイジー「私みたいな女は、結局王子と結ばれない。必ず王子と結ばれるなんて、馬鹿らしいわ」

そうだ、自分は物心がついた頃から、知性のある変わった子だった。貧しさ故でもあったが、他のと違うだけで、よくない思い出を作った。

デイジー「...イワン...」

ほんの短い間しか話せなかった、面白い青年。
彼女から話を振って起きながら、時間に押されて数時間もいられなかった。

デイジー「...ねぇ、来年でもいいから、またあの屋敷に連れて行って」

しかし、その次の年に彼はいなかった。大学の勉学に精を出す為に辞めたという。彼の通う大学に行ってみたかったが、執筆と言う名の運命が、創作しろと呼ぶものだから、行くことなど出来なかった。それは、青年も同じだった。

イワン「デイジー...」

自分の住む屋敷に植えられた花々。ヘリオトロープにパンジー、そしてデイジー。東屋で本を読んでいたが、その花々を眺めながら、彼女の姿を追っていた。声や影を。今度こそ会って話をしたい。けれど、会える機会が来ない。現れない。

イワン「神が許さないからなのか...。まだ会ってはならないと」

それは一層、彼を悔しがらせた。それが、彼の魂の原動力となり、努力を惜しまなかった。
顔色を伺い、媚びへつらい、自己主張が出来ずにいる己が中にいるかもしれない。誰でも醜い本性があると言うのなら、それを抑えて無くそうとするのではなく、逆に愛せればいい。多くの人と関わって学んだ、彼が導いた答えだった。多くの聖人君子も、己の非と本心を受け入れたからこそ、醜さを表に出さず高潔な道を、後世に伝えたのだろう。
ある時、1度だけあの時彼女と出会った屋敷に行った事があった。会えるかもしれないと。
けれど、出来なかった。

イワン「...まだ、自分の心が弱い証拠なのだな」

焦らず騒がず、青年は受け入れた。彼女が新たに作品を書いて耳目を集めていると知った時、密かに喜び、自身の励みとした。
それからしばらく経った。その頃になると、2人はとても若くも、成熟した大人の仲間入りを果たしていた。