オリキャラ短編集 2 (ページ28)

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オリキャラ昔話特別編汚れた白雪姫 4 ページ28

秋になった。近くにあるリンゴの木から、果実を摘み終えた季節。久し振りにやって来た彼は、珍しく勉強しなかった。

ヨーゼフ「よく熟してるな、君が摘んだのか?」

机の上のカゴに盛られたリンゴを手にして、尋ねる。ベッドに座っていた彼女は

シュネー「違うさ、食べる?」

ヨーゼフ「やだね。君以外の女が採ったもの、食欲が失せる」

シュネー「あっはは、面白いな!」

すると、今まで触れてこなかった彼の指の温度が感じた。アゴがクイっと持ち上げられる。

ヨーゼフ「...シュネーヴィトヒェン」

いつも無愛想な顔つきが、今日は柔らかみを帯びていた。なんだか違う雰囲気だ。

ヨーゼフ「俺の...シュネーヴィトヒェン」

シュネー「え...」

彼女の反応を見て気恥ずかしくなったのか、すぐ後ずさり、彼女から背けた。

ヨーゼフ「いや...それは...悪かったか?」

青年は顔だけをこちらに向けた。

シュネー「おいおい、リンゴよりも真っ赤になっちゃってさ...。どうしたぁ?」

飄々とした顔のまま、彼の顔を覗き込む。

ヨーゼフ「...シュネー」

不意に尋ねられる。

ヨーゼフ「君には、愛を約束した相手はいるのか?」

今度は、彼女が僅かに顔色を変えた。

シュネー「は?...いや、誰一人いないよ」

ヨーゼフ「そうか...。じゃあ」

一安心した青年は、いつになく生真面目な口調で言った。

ヨーゼフ「俺が、君の事がどうしようもなく好きだと知ったら?こんな狭い箱庭じゃなく、共に歩いていきたいと願っていたら?」

彼女は、言葉に詰まった。これまで生きて経験した事のない問い。しかし、その苦しみはすぐに消えた。

シュネー「...あたしは、あんたの事」

すると、階下から呼ぶ声が聞こえる。

「シュネー!来なさい‼」

ヨーゼフ「...明日も来る。その時に答えを下してくれ」

名残惜しそうに彼は言った。そして、こう言い残した。

ヨーゼフ「君の仲間が、俺達の事で噂になっている。覚悟しておいた方がいい。内容は分かるだろう?...だが、君も俺も悪くない。道を踏み間違えていない」

彼はそう言って、部屋を出て行った。あくる日の夜、彼の予言の通り、部屋から出られなくなった。閉じ込められたのだ。彼女に嫉妬した仲間達の仕業だった。

シュネー「小賢しい奴等め...。決裂確定だな」