オリキャラ短編集 2 (ページ21)

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変人学者に教鞭を執らせた結果ページ21

図鑑を読ませてもらっている3歳の愛娘。それに解説を加える大人。子供相手だから、流石の変人でも良い事だけを教えるだろうと思っていたが。

ゲオルグ「このヒョウモンダコの模様は美しいだろう」

モーリェ「うん!」

ゲオルグ「お、今度はカツオノエボシに着目とは利発だな」

やはりこうなった。

タラサ「モーリェ、ちょっとパパはこいつ連れ出すから」

と、子煩悩は笑顔で学者を引きずりながら部屋を出た。そして問答無用でボディーブローをかけた。が、本人にかわされる。

タラサ「俺の娘に有毒生物教えるな！！」

学者は反省も無く、勿体ぶって言った。

ゲオルグ「じゃあ、何を教えればいいと?」

タラサ「教えんでいい!あれだ...白雪姫とかシンデレラみたいな、ロマンチックな話にしろ」

ゲオルグ「出来なくはないな」

タラサ「自信満々だな...」

毒物学と犯罪学の学者でも、ありふれた童話位は語れるだろう。それだけは信じたい。

ゲオルグ「古代ローマ帝国と、カトリーヌという名の妃の話をしよう」

モーリェ「うん!」

タラサ(幅が広いな...何教えるんだ?)

ゲオルグ「ローマ帝国が滅んだ原因は鉛だと僕は信じている。鉛は金属の一種で食器類などにも使われていたが、上流階級に死産や流産が多かったのは鉛だと推測されている。そしてここからが肝心だ。ネロ暴君含めた歴代皇帝はな...」

タラサ「結局毒か!」

ゲオルグ「いてっ」

後ろから、思い切り学者の頭を叩いた。

モーリェ「モーリェ、わかんない～」

ゲオルグ「この話は別の機会にしよう。カトリーヌはフランス貴族の妃で、文化に携わったと言われている」

タラサ(良かった、これは案外まともだ)

しかし、それもことごとく裏切られた。

ゲオルグ「カトリーヌ・ド・メディシスは、毒殺魔ではないかとうわさされた。その原因となった訳は...」

タラサ「まともだと思った俺が馬鹿だった」

そう言いながら、また学者の頭を叩く。

モーリェ「うーん...わかんない」

タラサ「知らなくていいからな、モーリェ。この馬鹿なおじさんの話は忘れるんだよ」

頭をさすりながら、彼は面白おかしそうに言った。

ゲオルグ「だが、将来有望なのは間違いない。僕の研究分野に推してもいい位だ」

タラサ「断るわ!」

この日から金輪際、この学者に娘を関わらせないよう誓った子煩悩であった。