4人の半人と未解決事件 6 ページ26
「酷い...」
ステラが呟くと
「酷い？滑稽の間違いじゃないか」
とスペランツァは、事もなげに言った。
「だって、濡れ衣着せられて辛い目に遭って」
「言っただろ、俺はあの時から何も感じなくなったと。憎悪も悲哀も痛みも。例え真相が分かったとしても、何とも思わないな」
スペランツァの目はどこか遠くを見ているようで、達観の形をした不信を宿しているようにも思えた。不意に暖炉の方へ向かうと、不測に備えて置いている水桶を思い切り被った。
「...！！」
半透明になったシャツから見えたのは生々しい拷問の傷で、ステラを絶句させた。
「水を受けると傷が蘇る」
これにはエリスは怒ったようだった。
「スペランツァ！床もびしょ濡れにしちゃって。早く着替えて拭きなさい」
「言われるまでもない」
スペランツァは短く言って、足早に部屋を出た。やっと萌芽した人間味が歪んでしまうなんて。ステラは、冤罪は人格さえも変えてしまうおっかないものなのだと思った。
「懐かしいわ。最初に彼と会った時は、今よりもっと素っ気なくて。人間を全く信用しなくて、アモルに心を開くのに時間がかかったわ。でも本は好きで、良く書斎に足を運んでいたわ。ナンシーとクラージュに、テーブルマナーを教えていた事もあったわ」
「え...」
「有り得ないでしょう。スペランツァは気紛れだと言っていたけれど」
ナンシーは気怠げに言った。
「凄く厳しかったなぁ。気紛れなら何で続くのかな」
「ナンシーったら。けれど、スペランツァの人間不信は影を潜めているそうよ？きっと、レティシア達と事件のおかげね」
「ええ？」
ステラは信じられない目で見つめる。その視線を無視してエリスは話題を変える。
「次は誰にしましょうか？」
「じゃあ、あたし！」
ナンシーが手を挙げた。
「おいおい、俺が話したかったのに」
ステラが振り向くと、クラージュが帰還していた。
「びっくりした...」
「お前を作った人形師の面、拝みに来たぜ。男が女か分かんなかったぜ」
「じゃあ、こっちも話が凄く刺激的よ！聴き逃したら、只じゃ置かないからね」
「分かったから、大声出さないでよ...」
先程の同情が打ち消されてしまう勢いで、ナンシーは言った。
「そう、これはあたしが生まれる300年前」
「さ、300年！？こっちも長生きだった...」
「失礼ね、話すわよ」
ラッキーフラワー
ガーベラ
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ルツ・ヒューイット(プロフ) - 私作者は、改めてこの章の話を見返しましたが、余りにも自分でも分かる程不甲斐無い話だと恥ずかしくなりまして、誠に勝手ながら一部を大幅に編集させていただきます。 (2021年7月9日 10時) (
レス) id: d8efa9f421 (このIDを非表示/違反報告)
ルツ(プロフ) - SYUNSUKEさん» お、いいですよ。どんな風になるか分かりませんが、良いものであるならどうぞ。 (2017年11月14日 19時) (レス) id: 62681feacb (このIDを非表示/違反報告)
SYUNSUKE - ルツさん» あとなんですが、テンプレの企画でこの小説を参考にしてもよろしいでしょうか？ (2017年11月14日 18時) (レス) id: f60eebe690 (このIDを非表示/違反報告)
SYUNSUKE - ルツさん» 確かに、めちゃくちゃ大きい設定でしたもんね (2017年11月14日 18時) (レス) id: f60eebe690 (このIDを非表示/違反報告)
ルツ(プロフ) - 新しく改変した話は、ユーモアミステリにしました（笑）今度こそ、リベンジです！ (2017年11月14日 11時) (レス) id: 62681feacb (このIDを非表示/違反報告)
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