4人の半人と未解決事件 3 ページ23
今から500年前。難産だったらしい。母は出産直後に亡くなった。当時連続殺人犯だった父は、魔妖精と結ばれれば、その子供はより一層悪名高い悪人になれて、跡を継いでくれるという狂気で母と交際したそうだ。彼にとって我が子は、道具としか思えなかったらしい。結局、男は赤子の顔を見る前に捕まり、断頭台の露と消えた。
父に身内は無く、その半人の赤子は同族の元で育てられた。魔妖精に名前は無い。「お前」や「貴方」などが代わりだった。狂気を有する魔妖精は、姿形は人間と全く同じで羽が生えていたがその子には無かった。共通して人間より体温は低く、青みがかった黒髪と長命で容姿端麗。そして、狂気の人間を好む一族だった。故に、狂人を処刑目的で魔妖精に食べさせた国もあった。父を食べたいと、今際の際に母は言っていたのが、何よりの証拠だった。
「長、あの子はダメです」
「やはり、半人の魔妖精は前例に無い。育てたのが無意味だった。捨てよ」
100年余り経ったある日、7歳に見える少年は魔界以外の世界、人間と妖精などが住む現世に捨てられた。東欧の長閑で小さな町だった。何度慣れさせようとしても、この少年は人を食わなかった事を、受け継いだはずの感情の薄さに、魔妖精達は失望したのだ。
「あら、こんな所に子供がいるわ」
恰幅の良い中年女性が、同じような体型の夫に言う。後から知ったが、彼は現代で言う警視総監だった。
「迷い子か？だとしたら、保護して町に呼びかけねば」
そう言って、呆然としていた少年を屋敷へと連れ帰った。初めての熱い湯に、殺されるのではと思って暴れたのを覚えている。
「ほら、お風呂で暴れないの！」
服の感触に慣れなくて、脱ごうとした事もあった。
「脱がないの！風邪引くでしょ」
魔界の木の実や泉の水しか知らなかった少年にとって、料理や食器は未知の存在だった。皿の模様を見ようと料理を落とし、フォークをスープに入れたり。その様子を呆れながらも笑っていた夫妻の顔も覚えている。
「きっと、育った環境が悪かったのだろう。酷い親だ。無知なのは仕方がない」
幾ら経ってもこの子の親が現れないと知ると、子供のいない夫妻はある決意をした。この名も無き少年を養子に迎え入れようと。テナバリ家で、魔妖精の血を引く半人の子は初めて名を与えられた。『スペランツァ』と。
ラッキーフラワー
ガーベラ
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ルツ・ヒューイット(プロフ) - 私作者は、改めてこの章の話を見返しましたが、余りにも自分でも分かる程不甲斐無い話だと恥ずかしくなりまして、誠に勝手ながら一部を大幅に編集させていただきます。 (2021年7月9日 10時) (
レス) id: d8efa9f421 (このIDを非表示/違反報告)
ルツ(プロフ) - SYUNSUKEさん» お、いいですよ。どんな風になるか分かりませんが、良いものであるならどうぞ。 (2017年11月14日 19時) (レス) id: 62681feacb (このIDを非表示/違反報告)
SYUNSUKE - ルツさん» あとなんですが、テンプレの企画でこの小説を参考にしてもよろしいでしょうか？ (2017年11月14日 18時) (レス) id: f60eebe690 (このIDを非表示/違反報告)
SYUNSUKE - ルツさん» 確かに、めちゃくちゃ大きい設定でしたもんね (2017年11月14日 18時) (レス) id: f60eebe690 (このIDを非表示/違反報告)
ルツ(プロフ) - 新しく改変した話は、ユーモアミステリにしました（笑）今度こそ、リベンジです！ (2017年11月14日 11時) (レス) id: 62681feacb (このIDを非表示/違反報告)
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