あまりにも下らない珍事件 16 ページ48
「何はともあれ、君達を連れ回して済まなかったな」
ブローカーは、申し訳無さそうに謝罪した。
「市井の者に頼ろうとしていた俺達がどうかしていた。今後は一切、頼らないからな」
「無論、君達が探偵ごっこをするのも出来るなら止めてほしいものだがね」
プロムナードも、真剣な顔で言った。
「そうは思っていても...。依頼人が絶えません」
ややあって、ライオネルは答えた。
「ちゃんと忠告しないからだろう？」
プロムナードはライオネルの方を向いた。
「それにしても...面白かったですよ。貴方が猫嫌いだったなんて」
意地の悪い笑みを浮かべて言う青年に、警部補は激しく動揺した。
「それは俺も知っているぞ」
「ブ、ブローカー！言うんじゃない！！」
顔を赤らめて必死に言い訳を探そうとするが、言い返す材料を見つけて、それを出す。
「だが、ブローカーも災難だったじゃないか！天下のロルシュティア警察署の警部が、猫に引っかかれるなんてな」
「止めろ！これ以上言ったら、昇進が危ぶまれる！！」
このやり取りを眺めながら、ライオネルはそっとレティシアに呟く。
「この2人、芸人にでもなったら大受けかもな」
「確かに。私だったら毎日だって見るし、録画もするかもね」
『テルティオー・クオクエ・メンセ』にたどり着いた瞬間、エルスペスが扉を開けた。
「おお、お帰り！どうだったか？これから、閉めるところだったんだぜ」
話を早く聴きたいと言わんばかりの、ウキウキした表情で2人を引っ張る。
「じゃあ、今日はありがとうございました。お休みなさい」
レティシアはそう挨拶して、ライオネルと共に『テルティオー・クオクエ・メンセ』に入っていった。
「...全く、本当に馬鹿馬鹿しい1日だったな」
プロムナードが吐き捨てるように言う。少しして、また口を開く。
「...似ているって、いつも言っていたな...」
「ああ...」
ブローカーは、制服の胸ポケットから1枚の写真を取り出す。20年程前に撮られた、昔の光景。快晴の空の下。青い海を背に立つ、風に揺れる長い金髪の、青緑色の目を持つ乙女が微笑んでいる。
「...エリザベス」
ブローカーは、懐かしさを含めたその少女の名を呟く。
「お前の妹だな...。生きていれば、この雑貨店で働く2人の女性と同い年になっていたはずだったな」
あまりにも下らない珍事件 17→←あまりにも下らない珍事件 15
ラッキーフラワー
グロリオサ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ルツ(プロフ) - レジスタンスさん» ありがとうございます！次章をお楽しみ下さいね(^^) (2017年9月8日 12時) (
レス) id: 62681feacb (このIDを非表示/違反報告)
レジスタンス(プロフ) - 面白かったです！！ (2017年9月8日 12時) (レス) id: 2d55fe83e4 (このIDを非表示/違反報告)
ルツ(プロフ) - 2人の刑事が住んでいた島のモデルは、『軍艦島』がモデルです。あの雰囲気が魅力的だったので、投影させました。シリアスな場面はここまでで、後からギャグに走っていきます！(上手くできるだろうか...) (2017年9月2日 15時) (レス) id: 62681feacb (このIDを非表示/違反報告)
レジスタンス(プロフ) - ルツさん» 楽しみです！ (2017年9月1日 13時) (レス) id: 2d55fe83e4 (このIDを非表示/違反報告)
ルツ(プロフ) - お久しぶりの更新です（笑）今回は、ギャグの方面で行きます！ブローカー警部とプロムナード警部補の年齢を、引き上げました(どうでもいい)。 (2017年9月1日 10時) (レス) id: 62681feacb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
