あまりにも下らない珍事件 10 ページ42
「だから、誰も踏み入れないように厳重にしているんだよ」
「そうなんですか...」
ライオネルはまた質問した。
「無類の猫好きだと事前に知りましたが...猫達の体調管理もしていると聞いていますが、どんな事をしていますか？」
警視正は得意満面に説明した。
「少しだけ挙げよう。バランスが取れた食事、屋敷だけの散策ではストレスが溜まるから、より身体を動かす為に外に放っている。万が一、逃げ出さないように高い柵を作っているから逃げる事は無い。君達も見ただろう？どれ程高身長な者でも、乗り越えるのが不可能な高さだ。猫というのは、暑い場所から逃げる為に涼しい場所に向かう。逆も然り。なので季節に応じて、冷石と温石を器用に使っている。冷石の保管が簡単なのは分かるだろう？近くの氷室で、夏以外の季節で保管しておけばいいからな。そしてその氷室なんだが、すっかり古くなったから取り壊そうと思っている。大体、こんなところか...」
警視正はそう言い閉めた。長かった。
「そういえば、警視正。少し暑いですね、その冷気を放つとされる魔石、冷石を発動しているのですか？」
ブローカーがそう訴えると、警視正は申し訳なさそうに笑った。
「ああ、済まないね。真夜中から猫達の為に作動したんだが、夜明け前に壊れちゃってね...。おかげで蒸し暑くなってしまった。もうすぐ新しい冷石が届けられるはずなんだがなぁ...」
そこまでを聴くと、レティシアは言った。
「...警視正。猫達の居場所が分かりました」
その一言に誰もが驚いて、彼女を見つめた。
「一か八かの賭けなので、自信は半々ですが...。貴方が可愛がっている猫達は逃げ出してないのかと。庭などを含めた、この屋敷に必ずいます」
「しかし、どこを探してもいなかったんだぞ？」
聞き分けのない子供の如く警視正は言ったが、レティシアは平然と話を続けた。
「いえ、いると思います。貴方はそれを、見落としただけなんです。どちらかを二手に分かれて、探し出してみせましょう」
「二手に？」
「そうよ、ライオネル。貴方はプロムナードさんと一緒に。私はブローカーさんと一緒に行動するわ」
レティシアの確信のある口調に、ライオネルは頷くしか出来なかった。
「分かった。信じようじゃないか、居場所が既に分かったと言うなら...」
それは、2人の刑事も同じだった。
あまりにも下らない珍事件 11→←あまりにも下らない珍事件 9
ラッキーフラワー
グロリオサ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ルツ(プロフ) - レジスタンスさん» ありがとうございます！次章をお楽しみ下さいね(^^) (2017年9月8日 12時) (
レス) id: 62681feacb (このIDを非表示/違反報告)
レジスタンス(プロフ) - 面白かったです！！ (2017年9月8日 12時) (レス) id: 2d55fe83e4 (このIDを非表示/違反報告)
ルツ(プロフ) - 2人の刑事が住んでいた島のモデルは、『軍艦島』がモデルです。あの雰囲気が魅力的だったので、投影させました。シリアスな場面はここまでで、後からギャグに走っていきます！(上手くできるだろうか...) (2017年9月2日 15時) (レス) id: 62681feacb (このIDを非表示/違反報告)
レジスタンス(プロフ) - ルツさん» 楽しみです！ (2017年9月1日 13時) (レス) id: 2d55fe83e4 (このIDを非表示/違反報告)
ルツ(プロフ) - お久しぶりの更新です（笑）今回は、ギャグの方面で行きます！ブローカー警部とプロムナード警部補の年齢を、引き上げました(どうでもいい)。 (2017年9月1日 10時) (レス) id: 62681feacb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
