あまりにも下らない珍事件 6 ページ38
ブローカーも同じだった。2人の身体からにじみ出る、強い何かを感じ取れた。
「俺達はその最盛と没落を誰よりも身近に感じ、身に染みてきた。...お互い18になって島を出て行くまで、こんな生活など耐えきれなかった。休む事など無かった抗争、幼くして死んでいった子供達、虐げられた弱者達。正義など、その辺の石ころのように役に立たなかった。島を出て以来、俺達は2度と帰っていないな。治安が悪いのもそうだが...」
ブローカーの吐く言葉は、一生分とも取れる凝縮された無念さと悔しさが刻まれていた。
「ディアルクスに来てからは警察官として働く為に、手の平の入れ墨をお互い消したのですね。暗い過去から切り離す為に」
「...如何にも」
レティシアに言われ、プロムナードは溜め息と共に言った。
「警察に入ってからも、苦労したもんだ。着の身着のままディアルクスに来てからは、リピンコットと共に同居生活したものだ。警察学校を卒業するまではな。全く、お互いこの歳になるまで滅私奉公で...」
「おいおい、俺達はまだ30代だぞ」
「えっと、つかぬ事をお聞きしますが...」
ライオネルが尋ねると、ブローカーは答えた。
「俺達には妻子もおろか、恋人などいない。だがプロムナードは昔、いたそうだがな。結婚を約束した幼馴染みが」
「幼馴染？」
当の本人は、そっけなく吐いた。その言葉遣いが哀調を帯びているように見えた。
「彼女は、この世にいない」
「そ...そうですか。すみません...」
「謝る必要は無い、ライオネル・アイビー。当然の反応だ」
「それよりも、早く猫を探すぞ」
この暗くなった空気を引き締めるよう、ブローカーは口を開いた。
「この町に出ていない事を前提として、捜査するぞ」
「そうですね。その方が精神を集中して探せそうですね。ところで、写真はございますか？」
「勿論だ。警視正から渡されたものだが」
レティシアに言われ、ブローカーは数枚の写真を見せた。
「これが、24匹の猫達だ」
「わぁ、可愛い。こんなに猫に囲まれた生活を送ってなさるなんて、警視正はなんて面白いお方なのかしら。多頭飼いは苦労すると良く聞き及びますが、警視正は全く苦労してないようですね。毛並みも艶やかですし、体格もよろしくて」
「それはそうだろう、猫好きだからな。それより、何か分かるか？」
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ルツ(プロフ) - レジスタンスさん» ありがとうございます！次章をお楽しみ下さいね(^^) (2017年9月8日 12時) (
レス) id: 62681feacb (このIDを非表示/違反報告)
レジスタンス(プロフ) - 面白かったです！！ (2017年9月8日 12時) (レス) id: 2d55fe83e4 (このIDを非表示/違反報告)
ルツ(プロフ) - 2人の刑事が住んでいた島のモデルは、『軍艦島』がモデルです。あの雰囲気が魅力的だったので、投影させました。シリアスな場面はここまでで、後からギャグに走っていきます！(上手くできるだろうか...) (2017年9月2日 15時) (レス) id: 62681feacb (このIDを非表示/違反報告)
レジスタンス(プロフ) - ルツさん» 楽しみです！ (2017年9月1日 13時) (レス) id: 2d55fe83e4 (このIDを非表示/違反報告)
ルツ(プロフ) - お久しぶりの更新です（笑）今回は、ギャグの方面で行きます！ブローカー警部とプロムナード警部補の年齢を、引き上げました(どうでもいい)。 (2017年9月1日 10時) (レス) id: 62681feacb (このIDを非表示/違反報告)
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