無邪気な死の悪夢 38 ページ16
これが、後の世で『繰り返される暗黒と恐怖と不信と絶望の時代』と呼ばれるようになるのである。ミセリアは、その状況を把握しても元の世界に戻る気はなかった。
「自分はこの世界で生きていくんだ。誰が何と言おうと...」
誰かに会いたい。触れ合いたい。温もりを感じたい。安心したい。寄り添いたい。そんな希望を胸に、ミセリア・マエスティティアは旅を始めた。何も食べなくても飲まなくても生きていられた。そして最初で最後に赴いた町は、先の戦から逃れられた小さな町だった。
「おお...。なんて賑やかな町なんだろう...」
活気に満ちていて、誰もが笑顔を振りまいている。平和な世界だと思った。この町が抱える現状を知るまでは。町に住み着いて数日。ミセリアは早くも悩んでいた。
「どうして、子を愛さない親がいるんだろう...」
この町の全てとはいかないが、親からの卑劣で残酷な扱いを受けて、目から光を失っていく子供達を沢山目の当たりにしたミセリア。親のいない彼には分からなかったが、何も出来ないでいるのはどうかと思い始めていた。
「僕は...どうして、無力なんだろう...」
自分に出来る事は、希望を失ってしまったそういった子供達を慰めるだけ。そして、その子供達がいつも見てしまう悪夢を取り除くだけ。それ以外に出来る事は、思いつかない。町の子供達から慕われても、ミセリアは思い悩んでいた。子供達に笑顔を取り戻したい。それだけを考えていた。
ミセリアに転機が訪れる。町を悩ます災厄が訪れたのだ。伝染病だった。医学も知識も乏しい世界と人々には太刀打ち出来ない病魔に罹った者は、たちまち倒れていく。特に免疫力が大人より強くない子供が罹り、命を落とす。誰もが悩んで苦しんでいた。特に子供を失い嘆く親達の姿ほど、痛々しいものに匹敵するものは無い。
「親は子供に酷い仕打ちをするが...あんなに嘆く事は、やはり愛していたという証なんだ」
親は子供を誰よりも愛してくれる。どんな者さえも、善の心を持っている。ミセリアは覚悟を決めた。この町を、子供達の命を守ろうと。
「僕に任せて下さい。必ずや、この街に降りかかる災厄を取り除いて差し上げましょう」
町長に申し出ると、すんなり許可を得られた。その夜、ミセリアは魔法で笛を作り上げた。銀色の透明のある横笛で、それを口に当てて吹き始めた。
ラッキーフラワー
グロリオサ
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ルツ(プロフ) - レジスタンスさん» ありがとうございます！次章をお楽しみ下さいね(^^) (2017年9月8日 12時) (
レス) id: 62681feacb (このIDを非表示/違反報告)
レジスタンス(プロフ) - 面白かったです！！ (2017年9月8日 12時) (レス) id: 2d55fe83e4 (このIDを非表示/違反報告)
ルツ(プロフ) - 2人の刑事が住んでいた島のモデルは、『軍艦島』がモデルです。あの雰囲気が魅力的だったので、投影させました。シリアスな場面はここまでで、後からギャグに走っていきます！(上手くできるだろうか...) (2017年9月2日 15時) (レス) id: 62681feacb (このIDを非表示/違反報告)
レジスタンス(プロフ) - ルツさん» 楽しみです！ (2017年9月1日 13時) (レス) id: 2d55fe83e4 (このIDを非表示/違反報告)
ルツ(プロフ) - お久しぶりの更新です（笑）今回は、ギャグの方面で行きます！ブローカー警部とプロムナード警部補の年齢を、引き上げました(どうでもいい)。 (2017年9月1日 10時) (レス) id: 62681feacb (このIDを非表示/違反報告)
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