無邪気な死の悪夢 34 ページ12
『その力が欲しい』、『その力を貸して欲しい』。
レティシアにとってその言葉は、心の底から嫌な言葉だ。言い寄る人は大抵、レティシアの魅力も本人の心情を無視して言うのだ。 もし、こんな状況でなければ嫌だと言ったのだろう。だが子供達を助ける為なら、少しだけでも力を与えようか。
「構わないよ。好きなだけ使いなさい」
レティシアはそう言って、
「では...」
右手を見えない結界にかざし、
「悪夢から抽出されし陣よ、我の願いに砕かれよ！」
全ての空気がざわめき出す。そして物質的には存在しないはずの結界が、窓を割った如くけたたましい音を立てた。桜花はレティシアの手を離した。
「さぁ、早く！子供達の魂を現世に戻すのを手伝って下さい！」
「あ、ああ！玉ねぎ行くぞ！」
「玉ねぎじゃないぞ、俺の名前！」
花畑の中を楽しそうに駆け回る子供達を、レティシア3人は1人ずつ捕まえた。
「捕まえたぞ！おやっさんが心配しているぞ！目を覚ますんだ！」
すると、子供達の反応は意外なものだった。
「嫌だ！目を覚ましたくないよ！ここがいい！」
「僕も！」
「あたしも！」
「この世界で生きていくんだもん！」
「あんな世界に生きるより、ずっといいもん！」
誰1人として『帰りたい』と言う子供達がいない。すっかりこの世界に浸かれてしまったのか。よく見れば、子供達の目には、光が入っていながらも徐々にその色が失くしつつあるのが見て取れた。
「お前らなぁ...！お前らが目を覚まさなくて、悲しんでいる親がいても何も感じないのか！？」
アッリウム・ケーパが呆れたように言っても、子供達の心は石のように、固かった。
「いいもん」
「あっちの方も清々しているんでしょ？」
「僕達がいなくなって良かったと思っているんだから」
「ここにいれば、殴られたり怒られたりしないもん」
レティシアは、その言葉の雨を受けて1つの結論を導いた。子供達は『あの男』の作ったこの世界に囚われて、正気を失くしているのではない。心の底から、現実世界に戻るのを拒否している。この子供達は全員、親からの愛情を殆ど受けず育ってきた被害者だ。そして1つの可能性も浮上した。『あの男』の目的は。
ラッキーフラワー
グロリオサ
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ルツ(プロフ) - レジスタンスさん» ありがとうございます！次章をお楽しみ下さいね(^^) (2017年9月8日 12時) (
レス) id: 62681feacb (このIDを非表示/違反報告)
レジスタンス(プロフ) - 面白かったです！！ (2017年9月8日 12時) (レス) id: 2d55fe83e4 (このIDを非表示/違反報告)
ルツ(プロフ) - 2人の刑事が住んでいた島のモデルは、『軍艦島』がモデルです。あの雰囲気が魅力的だったので、投影させました。シリアスな場面はここまでで、後からギャグに走っていきます！(上手くできるだろうか...) (2017年9月2日 15時) (レス) id: 62681feacb (このIDを非表示/違反報告)
レジスタンス(プロフ) - ルツさん» 楽しみです！ (2017年9月1日 13時) (レス) id: 2d55fe83e4 (このIDを非表示/違反報告)
ルツ(プロフ) - お久しぶりの更新です（笑）今回は、ギャグの方面で行きます！ブローカー警部とプロムナード警部補の年齢を、引き上げました(どうでもいい)。 (2017年9月1日 10時) (レス) id: 62681feacb (このIDを非表示/違反報告)
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