Where there’s smoke,there’s fire 15 ページ32
3年前、当時19歳のトゥーシーは消防学校に入って、猛特訓に励む日々を過ごしていた。彼には、片想いの相手がいた。フレイキーという赤いヤマアラシの少女。同じ高校で知り合って、友達になった。否、彼女はそう思っているが、トゥーシーは真剣にフレイキーに恋していた。別の進路を歩んでも、よく会っていた。
フレイキー「僕、大学を卒業したら結婚するんだ。婚約者が出来たんだ。フリッピーっていう、とっても優しい人で...」
いつか言われたその吉報に愕然となりながらも、男友達として、幸せに笑う彼女を祝福した。それからしばらく経った。トゥーシーは、フレイキーと彼女の婚約者、フリッピーとデパートに来ていた。27歳の温厚な青年に、トゥーシーは彼女を幸せになれる人物は彼しかいないと改めて感じ、友達になった。その日、大規模火災が発生した。炎と悲鳴の波をすり抜けていった3人だったが、運命は冷酷に降りかかった。
トゥーシー「早く‼」
フレイキー「う、うん...!」
フリッピー「フレイキー!止まらないで‼」
その時、天井から吊り下げられていたシャンデリアが、熱により落下してきた。婚約者は、フレイキーの背を強く押した同時に大きな音が、背中越しに響いた。
フレイキー「嫌あああああああ‼」
トゥーシー「フリッピーさん‼」
下敷きになった彼を、助けようとした。ガラスが割れる音が次々と聞こえ、火の手が間近に来ていた。火に包まれてもおかしくない状況だ。
フリッピー「トゥーシー!僕の事はいいから...彼女を連れて、逃げるんだ...こんな事をしたら、逃げ遅れる...だから彼女を...!」
トゥーシー「...!」
トゥーシーは、フレイキーを抱くとその場を走り去った。炎は婚約者を包み込んでしまった。
フレイキー「え⁉トゥーシー⁉嫌だ放して‼
フリッピーが‼嫌ああああ‼」
泣き喚く彼女の姿に、胸が
これほどまで、非力な自分を恨んだのは初めてだった。彼女の婚約者は、婚約指輪を遺して命を落とした。フレイキーはトゥーシーを、薄情者の人殺しだと責め立て、必死に泣きながら、愛していた彼女に許して欲しいと懇願した。
許してくれなかった。忘れもしない、罪の記憶。
Where there’s smoke,there’s fire 16→←Where there’s smoke,there’s fire 14
5人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ルツ(プロフ) - レジスタンスさん» ありがとうございます! (2017年4月4日 12時) (レス) id: 62681feacb (このIDを非表示/違反報告)
レジスタンス(プロフ) - とっても面白かったです!!(*’ω’ノノ゙☆ (2017年4月4日 8時) (レス) id: 2d55fe83e4 (このIDを非表示/違反報告)
ルツ(プロフ) - レジスタンスさん» そうなんです...泣く泣く見放すしかなかった者、自分だけが生き残ってしまった者...それぞれそういった傷を持っているんです。結構苦労しました... (2017年3月29日 11時) (レス) id: 62681feacb (このIDを非表示/違反報告)
レジスタンス(プロフ) - 全員、傷を負っているのですね…何とも言えない感じでした… (2017年3月29日 10時) (レス) id: 2d55fe83e4 (このIDを非表示/違反報告)
ルツ(プロフ) - レジスタンスさん» その通りです!『火』に関係しているという理由だけでつけました(笑)出演者達『適当...』 (2017年3月15日 12時) (レス) id: 62681feacb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ