HTF小話集と短編集！！そのⅤ (ページ44)

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赤いドレスのシンデレラ 9 ページ44

それからの日々は地獄だった。彼女の言う通りにしないと折檻される。誰かを虐めるのは良くないと分かっていても、ほんの少しでもためらえば『可哀想なラミー』を演じたいラミーに脅される。また、自分のドレスを自ら破いて言うには

ラミー「虐めている義妹のドレスを仕方なく運ぶ義姉を演じなさい」

みすぼらしい服を作って着て言うには

ラミー「服を取り上げられて、ボロ服を着させる義姉を演じなさい」

掃除用具を持って来ては

ラミー「義妹に掃除を強要する義姉を演じなさい」

フレイキーがあの時見た光景でも、事前にラミーは言っていた。

ラミー「私に対してはこう言いなさい。行動も暴言も隙が無いように演じなさい」

更には街の住人にまで嘘を吐いて、味方となる分子を消していくという狡猾な手段をしていた。義父も実母も、上っ面の素晴らしいラミーの本性を訴えても信じてくれなかった。それどころか、ギグルスとペチュニアに憎悪の込もった非難を浴びせる。家にも外にも味方がいない。心が壊れそうだった。どこへ行っても『清純な令嬢を虐める冷酷な義姉達』というレッテルがつきまとう。そんな彼女達にとって、仕立て屋のフレイキーと話をする事が唯一の救いだった。だがフレイキーが、偽りの彼女達にだまされかけている。それをラミーは利用した。あえて1人残って義姉達を舞踏会に行かせ、仕立て屋が来るのを待っていた。予想通りフレイキーが来た。まさにカモがネギを背負って来たのだ。意気揚々とパーティーへ赴き、王子の心を手に入れると、その場にいたギグルスとペチュニアの悪行を訴えた。当然だまされている誰もが、2人を庇わなかった。

ペチュニア「違う!あの子があたし達を陥れたんです!」

ギグルス「だからお願い!信じてよ!」

だが2人の必死の本心は言い訳だと片付けられ、そのまま捕まり、そして殺された。

ラミー「私ね、あの2人の絶望に満ちた顔を思い出すと、堪らなく胸が高鳴るの。ああ、私の努力が実ったんだ、長かったけれどハッピーエンドになれてよかった。貴女はシンデレラを幸福に導く魔法使いのようなものよ。だから、今度は私を一生幸運を保つように利用してあげるわね。じゃあ、お休みなさい」

ラミーは愉悦に満ちた顔で去って行きました。残されたフレイキーは、気が付けば仕立て屋に駆け込んでいました。