HTF小話集と短編集！！そのⅤ (ページ43)

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赤いドレスのシンデレラ 8 ページ43

フレイキーが屋敷に戻った時には、夜が更けていました。泣きはらした顔には光を失いかけた目。ウエディングドレスを作る気持ちにはなれませんでした。
2人が自分を利用していたとしても、孤独だったフレイキーにとっては、助けてくれたのも同然だったのです。謝りたかった。それが心残りでした。
すると、ラミーの笑い声が耳に入りました。

ラミー「あははは、本当皆は馬鹿だわ!私の芝居にすっかりだまされて!」

フレイキーは耳を疑いました。全身の血の流れが止まったようでした。今、なんて言ったのだ?と。しかし、ラミーは気付いたようで笑顔を浮かべながら近付きました。

ラミー「貴女には本当に感謝しているわ。私ね、誰かを利用したり零落させるのが大好きなのよ。偽りの涙を流して同情させるのも、誰彼問わず唆して両者をいがみ合わせるのも...。なんと言っても、善人に有る事無い事吹聴して悪者にさせるのが堪らなく快感で...!あの馬鹿女達は完全にだまされてたわねぇ!勿論貴女も」

吐かれる言葉の手が心を鷲掴みさせ、無理矢理水に押し付けられたような感覚を覚えました。溺れるように息が乱れ、凍りついた目でラミーを凝視していると

ラミー「貴女にだけ教えてあげる。誰にも言わないでよ?それと、復讐しようなんて無駄よ?私と同じ位ひ弱ですもの。知恵も無さそうで」

扇子を優雅にあおぎ、彼女は陶酔の声で語り始めました。

親の再婚によって、2人の義姉が家に来た日の事だ。

ラミー「お義姉様、私の部屋に来て下さらない?やって来て早々、大事な話があるの」

ギグルス「あら、いいわよ。どんな話?」

ペチュニア「きっと屋敷のマナーでも教えるんでしょ」

2人は何も疑わなかった。部屋に入った瞬間、ラミーは豹変した。不意に小物を手にすると、思い切り義理姉妹に投げつけた。

ギグルス「きゃあ⁉」

ペチュニア「ギグルス‼」

額を押さえるギグルス。血がにじみ出る。

ラミー「ふふふ...」

ペチュニア「何て事をするの‼確かに、いきなり義理の姉が出来て、戸惑って嫌いになるかもと覚悟していたけれど...だからって」

ラミー「嫌いじゃないの」

ラミーは笑いながら言った。

ラミー「これから貴女達は、妹を虐める義理の姉達になりなさい。シンデレラだって苦労の末に幸せになったんでしょ?私はそれに演じて楽しむわ」