HTF小話集と短編集！！そのⅤ (ページ15)

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小人の観察 1 ページ15

シフティとリフティは、チラリと物陰からあるもので観察していた。その対象は小人。嘘ではない。正真正銘の小人である。

シフティ「お、ちゃんといるな...」

リフティ「静かにしてろよ」

シフティ「分かっとるわ黙れ」

リフティ「お前こそ黙れ」

小人の特徴を挙げよう。
2人(2匹?)の男の子と女の子。身長は3㎝。尖った耳。白磁器を思わせる白い肌と、アメ色の髪。男の子は短く、女の子は膝ほど。どちらも紫色のとんがり帽子を被っていて、可愛らしい黄色の服を着ている。靴は履いていないが、寒そうに見えない。

シフティ「...なぁ、この小人って、どこの生き物なんだ?」

リフティ「さぁ、俺達と違うのは分かるけど」

ハッピーツリータウンは、多くの動物達が住む場所。人間なんて1人もいない。言いたい事は、彼等は人間か人間に近い存在を見た事がない故に、こんな事を言っているのだ。この小人も人間に近い形をしている。
この小人が現れたのは、数ヶ月前だ。

リフティ「兄貴!ちょっと来てくれ!」

シフティ「んだよ...昼寝の邪魔すんなよ...」

双子の兄弟は、少し寂れた教会に住んでいた。父親はこの教会の牧師で、母親はシスターだった。シフティとリフティが生まれた時、身体の弱かった母は死に、父親の元で育てられた。しかし、父は2人が15の時に病で亡くなった。以来、この教会に来る信者達は絶え、2人だけで住むようになった。周りの人達は、盗みなどの悪い事をする2人に疑問を持つのも無理はない。神は悪い事を赦さない。その元で育てられたのなら尚更なのに、どうして悪行を重ねるのだろう、と。
理由は至って簡単だった。生きる為にやっている、と。それに神は全ての者を赦す存在なのだから、多少の悪い事をしても赦されると、2人は信じているからだ。

シフティ「何があったんだ?」

リフティ「変な奴が祭壇の上にいる!」

シフティ「はぁ?」

物陰から見た2人は驚きを露わにした。
そう、それが小人だった。初めて見た小さな男女は祭壇の上で、ワルツを踊っていた。この日から、この小人を観察しようと決めた。

そして今。小人は今は使われなくなった、ホコリまみれのパイプオルガンの上で何かをしていた。

シフティ「猫じゃらしで、お掃除してるぜ。可愛くね?」

リフティ「でかく見えるな。あ、くしゃみしたこいつ」