HTF小話集と短編集！！そのⅤ (ページ14)

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失った夢の物語 5 ページ14

次の日。ハロウィンが終わった日。並んで歩くカップルがいる。

ペチュニア「あたし、不思議な夢を見たのよ」

ハンディ「へぇ?」

ペチュニア「...最初は悪夢だった。でも、ね...昨日会った彼女に似た、女の子が助けてくれたの。どうやって助けられたか忘れちゃったけど...。それから、あの子はあたしに幸福の夢を見せてあげるって言って...」

ペチュニアの表情が少しだけ、明るくなる。

ペチュニア「本当に幸せだったなぁ。鮮明に覚えてないけど、とても良い夢だった。もう、あたしは平気なんだって。過去に縛られてなくてもいいんだって」

晴々とした表情の彼女を見て、新しい想い人は安心した笑みを浮かべた。最近まで、どこか暗い表情を彼女は浮かべていたのだから。

ハンディ「新しい店が出来たから、行ってみようか?」

ペチュニア「うん!」

並木道に2人の影が伸びた。

桜花は夢世界でまた、様々な夢の管理していた。悪夢を見つけたら食べる、その繰り返し。
夢は、あの世とこの世を結ぶ境界線。自分はそれを彼女に見させた。そして幸福な表情のまま眠りから覚めた。悪夢は完全に消えた訳ではない。でも、もう平気なのだ。過去と向き合う事は、強くなった証なのだから心配する必要はない。

桜花「...」

どうして自分が職務以外の事に興味を惹かれたのか、分かった気がする。生きとし生けるものの強さに初めて気づき、惹かれたのかもしれない。
力の強さではなく、闇に立ち向かう強さに。
彼女は悪夢に苦しんでいた。しかし、そんな彼女には『強さ』があった。小さくともそれがあった。何としても、打ち克たなければならない強さが。

桜花「生きとし生けるものは、必ずしも弱いとは言えないかもしれませんね...」

生きる者には心の強さがある。それを実感した、貴重な出来事だった。

桜花「見守り続けましょうか。悪夢を救いながら、人々がどのように悪夢と向き合い、成長するか...」

ドリームキャッチャーを携え、夢世界の管理人は悪夢を食べに、移動をした。

桜花「あ、そうだ...」

夢世界の管理人は、幾つものお菓子を出した。あの世界でハロウィンの祭りにくれたのだ。早速、口に入れる。

桜花「美味しい...」

今日も仕事を頑張ろうと、珍しく笑顔になった彼女は悪夢を探した。幸せな夢を守る為に。

END