【BSR】泰平の世が訪れるまで (ページ16)

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一方で、白菊は医務室にて徳川家康とお茶をしていた。

彼は武将でありながら、薬にも精通しており時間を見つけてはこうして白菊の元を訪れているのだ。

「家康様はどなたかと結ばれないのですか？」

「ワシにはまだ早いさ、白菊殿。
三成のように幼い頃からの約束があれば話は別だろうがなぁ」

何せ今川に人質にいたのだから、と彼は笑った。

「三成様と紫乃姫様が結ばれるとなれば、豊臣は安泰でしょうね。織田が滅んだ今、天下に最も近しい軍勢ですから」

「…あぁ、そうだな」

もう少しで、もう少しで天下泰平だ。豊臣が天下を取れば、乱世は終わる。

だが、豊臣が掲げる〝富国強兵〟は力を持たぬ弱者を排除する考え方だ。小国や戦には関係のない民たちをも見捨てるやり方だ。

この数年、家康は心のうちで豊臣に対する不信感を覚えていた。もっと異なるやり方もあるのではないか、と。

「私は家康様のお優しい一面、嫌いではありませんよ」

お茶と共に用意された饅頭を手に取りながら、白菊は言った。