悪魔に救いを(中編)＊神代類 ページ11
Aさんside
かつての仲間たちが、私に怯えた目を向ける。
ああ、そんな顔で私を見ないで。
一歩足を踏み出すと、彼らは私から逃げていく。
どうして、どうして、私はただ…
暖かく優しい温度を頬に感じる。生まれてこの方、感じたことのない、それはとても心地良いものだった。
ゆっくりと目を開けると、最早見慣れた天使の顔が、目の前にあった。
＊
「やれやれ、あんなに怒らなくてもいいのに。翼が少し焦げてしまったよ」
寝室の姿見の前で、ぶつぶつと文句を言う天使を睨んで、私はため息をついた。
「でも、悪魔も寝顔は可愛いんだね」
「それ以上無駄口を叩くなら、その翼、もっと焦がしてあげてもいいけど」
「…」
怯える天使を傍目に、私は頬を指でなぞる。夢と現の間に感じた感触を追うように。少しだけ心が癒えるような、あの。
「君はもっと外に出た方がいいんじゃないかい？ずっと閉じこもっているんだろう？」
姿見を見ていた天使が、私の方を見て言う。
「…出てはいけないのよ。私は」
「どうして？」
「あなた、天使とは思えないほど意地悪ね。私が起こしたこと、知らないとは思えないけど」
きっかけは何だったのか。
前後の境が曖昧でよく思い出せない。
気がつくと私の周りには、立っている者は誰も居なかった。
周りとは、比べ物にならないほどの力を持ってしまった、悪魔の末路。
「だから、あなたも命が惜しければ、私なんかに近づかないことだわ」
それが一番なのだ。
なのにこの変わり者の天使は、不思議そうな顔をして、ベッドに座る私に近づいてきた。
「別に命なんて惜しくないよ」
そう言って、私の髪を撫でる。
驚きやら羞恥やらで、頬が熱を持つ。
「さ、触らないで！本当に燃やすわよ」
「君は寝顔だけじゃなく、起きている時も可愛いね」
「っ！」
「ふふ、照れているのかい？…あ、炎を出すのはやめて…」
＊
「そろそろ帰るかな。…そうだ、今度来たとき、君と行きたい場所があるんだ」
寝室からリビングに場所を移して、しばらく経った頃、天使がソファから立ち上がった。
「私は外には出ないわ」
「外には出ないから大丈夫だよ」
「何を企んでいるの？」
「企んでいるなんて失礼だね、まあ、お楽しみということで」
そう言って天使は、いつものように消えた。
その途端、静寂が部屋を満たす。
寂しい、と感じる私に自分でも驚く。
そして、その先にある感情を、私は…
＊
またまた続きます
悪魔に救いを(後編)＊神代類→←悪魔に救いを(前編)＊神代類(リク)
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あいらいん - こんにちは！お話全部面白くて気づいたら読み終わっていました！よければリクエストを聞いていただけないでしょうか…？できればでいいのですが、遠野新お願いします！夢主が新くんより年上だとより嬉しいです！よろしくお願いします！ (2023年3月28日 12時) (
レス) id: c168593882 (このIDを非表示/違反報告)
雪柳(プロフ) - 月兎さん» 病み要素のないお話、だと思います、了解です！またお時間いただきますね！ (2021年11月21日 7時) (レス) id: cfd3fbf4ae (このIDを非表示/違反報告)
月兎 - 雪柳さん» 正統派でお願いします！正統派って何ですか？更新頑張ってくださいね！楽しみにしてます！ (2021年11月21日 6時) (レス) @page19 id: 15b58e3eb4 (このIDを非表示/違反報告)
雪柳(プロフ) - 月兎さん» ニーゴのリクありがとうございました！類くんですね、正統派系かヤンデレ系かどっちがいいですか？ (2021年11月20日 21時) (レス) id: cfd3fbf4ae (このIDを非表示/違反報告)
雪柳(プロフ) - Duskさん» リクエストありがとうございます！レオニですね、了解です！少々お待ちを！ (2021年11月20日 21時) (レス) id: cfd3fbf4ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪柳 | 作成日時：2021年8月19日 19時
