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帰り道、岸くんは家の近くまで送ってくれた。紫耀の家を横目で見てみると、家の電気はついていなかった。何処かに出掛けているのだろうか。
家の扉を開けて、“ただいま”と声を出す。台所にいる母から、紫耀が来ていると聞き、慌てて部屋まで駆け抜ける。
思いきり部屋の扉を押すと、紫耀が私のベッドに座っていた。
『……お帰り、何処行ってたん?』
「えっと……それは……」
『岸くんと遊園地行ってたんやろ?』
その言葉にドキッと心臓が反応する。一体どうして紫耀がその事を知っているんだ。
『クラスのやつが見たって言ってたで。楽しかった?』
「う、ん。まぁ……楽しかった」
『へぇ……俺が買ってやった服着てって。何なん?やっぱ岸くんのこと好きなんちゃう?』
「違うよ、岸くんのことは友だちとして好きなだけ」
『そういうのムカつく』
ドサッとベッドに押し倒されて、冷めた目で見つめられる。今まで見たことのないその目に、得体の知れない恐怖感に襲われる。
紫耀は私の耳元に顔を近づけ、優しく息を吹き掛ける。感じたことのない、言葉では言い表せない感覚に思わず声が漏れてしまう。
『声出したらバレるで?我慢せんと』
「ちょっと、やめて、」
いくら抵抗しようとも、力ではやはり勝てるわけがなかった。やめるように訴えても、紫耀は聞く耳を持たないでどんどんエスカレートしていく。
紫耀は耳から首へと場所を変えた。すると、突然ちくっとした痛みに襲われた。
そこでようやく、紫耀は私の上から退いてくれた。
『それ、Aは俺のもんやって証やから』
それだけ言うと、紫耀はヒラヒラと手を振って、部屋から出ていった。
まだ少し痛む首元を鏡で確認してみると、目立つ場所に一ヶ所、紅い華が咲いていた。
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も。(プロフ) - みるくプリンさん» お褒めのお言葉ありがとうございます。面白いと感じていただけたようでよかったです。自分の想像力をフル回転させながらお話を練った甲斐があります(笑)是非これを機に少しでもキンプリを知っていただけたら(笑)コメントありがとうございました! (2019年8月22日 11時) (レス) id: 677285a89c (このIDを非表示/違反報告)
みるくプリン(プロフ) - はじめまして!面白くて一気読みしました。実はキンプリ詳しくないんですが、めっちゃキュンとしました。これからも頑張ってくださいっ(*´∀`) (2019年8月22日 6時) (レス) id: 7db76bcf0c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:も。 | 作成日時:2019年8月15日 5時