＊７７＊甘いのは店内だけではありません ページ36
オレンジのタルトレット。
香ばしくキャラメリゼされた林檎のケーキ。
ふわふわしたスフレ。
キラキラしたゼリー。
そして、目の前には色とりどりのマカロン。
こんな光景も当たり前だ、ここはケーキ屋なのだから。
店内には、甘い香りが満ち溢れていた。
そして、向かいに座る負けず劣らずな甘い笑顔を浮かべた天月くん。
ど、どうしちゃったんだろう。
「ね、美味しい？」
『う…うん』
「よかった」
嘘だ。
正直言うと、味なんてまったく感じない。
まるで味覚がフリーズしてしまったかのように味がしない。
それが、真っ赤に染まった顔との関係が皆無とは思えない。
天月くんはプリンア・ラ・モードを頼んだようで。
すごく美味しそうに食べているのを見て、うらやましく感じてしまう自分がいる。
私もあんな美味しそうに食べたかった。
いや、きっとこのマカロン自体はすごく美味しいのだろう。
だってそれに惹かれて頼んだのだ。
でも味がしない。
残念なことである。
私は、逃げ場のないこの甘ったるい時間をどうしたらいいのか考えあぐねていた。
『あ、あまつきくん』
「ん？何」
小さな呟きを聞き取ってくれたらしい天月くんは、にこりと微笑む。
でも、とても自然な笑み。
せ、赤面なんかしていない、決して。
『なんで、急に出かけるなんて…』
「デート」
『で、出かける』
「デート」
有無を言わさない笑顔。
私は恥ずかしさに死にそうになりながら、小さな声でその単語を舌に乗せる。
『…でーと、なんて、なんで急に…？』
しかも私なんかと、と心の中で付け足す。
すると、天月くんはさも面白そうに声を漏らして笑うと。
「Aのこと知りたいなーって思ったから、かな」
『は…！？』
「“俺”のこともまだぜんぜん教えてなかったし」
あ、一人称。
やっぱり少し感じる違和感。
そう思うとすぐに、天月くんが言う。
「あ、これ“素”だから、気にしないで」
『う、うん…っ』
驚愕。
彼は、きっと人の考えていることを予想するのが得意なのだろう。
〜＊〜＊〜＊〜＊〜＊〜＊〜
クイズ
私の作品内で、この中のケーキのどれかが出ています！さてどれでしょう！！
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しぃ - この作品の空気が大好きです！これからも更新頑張ってください！ (2017年1月23日 2時) (
レス) id: b6bffe2f4c (このIDを非表示/違反報告)
kai - イケメンか！みんなイケメンか! うわぁぁぁ！ (2016年5月9日 17時) (レス) id: 9a244b794f (このIDを非表示/違反報告)
ミャン(プロフ) - さやえんどうさん» レスありがとうございます。楽しみにしてます。 (2014年7月6日 14時) (レス) id: 3df0169470 (このIDを非表示/違反報告)
さやえんどう(プロフ) - ミャンさん» うわああ気づかなかった・・・！レスものすごく遅れてごめんなさい！ えーっと、それはものすごい後の伏線になってますね・・・！お楽しみに！ (2014年7月5日 22時) (レス) id: 6ce064ce99 (このIDを非表示/違反報告)
ミャン(プロフ) - 68の最初のところでそらるさんは何を撮ったんですか？ (2014年2月11日 14時) (レス) id: 8abaadbd6f (このIDを非表示/違反報告)
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