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*60* 桜並木 ページ15

「ちょ、まって待って!」

96ちゃんの声とともに、私たちも駆け出す。
そして、小奇麗な大学が見えたころ。

「…A、俺、ここで行かなきゃなんない」
『へ?』
「俺の大学!あっちなのっ」

なきそうな顔で、まふくんが指差したのはとおりをはさんで、すこし遠くの大学。
ああ、そうか。確か大学違ったっけ。

『…残念だけど、』
「やだっ、Aと離れたくない〜〜!!」

…言うと、思った。
どうしようかなぁ、なんて思っていると、しゃむくんが後ろからこっそり。

「A、“いってらっしゃい”って言ってあげな」

そう囁いた。
いってらっしゃい?
それで、いいのだろうか。

そう思いつつ、私はとりあえず口を開く。

『行ってらっしゃい、まふくん』
「…っ、A、」
『えーっと…入学式、がんばって…?』

私がそう付け足すと、まふくんはさきほどまでの顔をうそのように明るくして。

「分かった!行ってくる!」

そう言った。

し、しゃむくんすごい。
私がそう思っていると、まふくんは最後に私を抱きしめて言った。

「Aもがんばってね!応援してる」
『あっ、ありがとう!』

い、いつまでたっても慣れないこの抱擁。
あ、アメリカの人がいつもやってること!
いや、私アメリカンじゃないし!

頭の中はぐるぐるぐる。
しかも、まふくんは桜並木を走りながら、私に言ったのである。

「A大好きーー!!」

…と。
もう、周りのお姉さま方の桃色の視線なんて、まふくんには目に入ってなかった。
きっと、感じてさえもいなかったのだろう。

よって、お姉さま方の視線は私に向くわけで。
私は急いでカバンを顔の前にかまえると。

「96ちゃん、行こう!」
「え、でもお姉さま方が」
「お願い!」
「え」

最後までしぶっていた96ちゃんをひっぱって、とりあえず走った。
しゃむくんと天月さんが後ろから追いかけてくる。

「えー、Aちゃん早いよー」
「走っといてよかった」

“早い”とか言いつつ、二人は余裕で私に追いついたようだったが。
は、早くなんてないじゃないか!

むしろ私がバテそうである。
そんなことを思いながら、私たちは大学への桜並木を駆けた。

…そんな4人組が、注目を集めないはずなんて。

…なかった、のである。

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しぃ - この作品の空気が大好きです!これからも更新頑張ってください! (2017年1月23日 2時) (レス) id: b6bffe2f4c (このIDを非表示/違反報告)
kai - イケメンか!みんなイケメンか! うわぁぁぁ! (2016年5月9日 17時) (レス) id: 9a244b794f (このIDを非表示/違反報告)
ミャン(プロフ) - さやえんどうさん» レスありがとうございます。楽しみにしてます。 (2014年7月6日 14時) (レス) id: 3df0169470 (このIDを非表示/違反報告)
さやえんどう(プロフ) - ミャンさん» うわああ気づかなかった・・・!レスものすごく遅れてごめんなさい! えーっと、それはものすごい後の伏線になってますね・・・!お楽しみに! (2014年7月5日 22時) (レス) id: 6ce064ce99 (このIDを非表示/違反報告)
ミャン(プロフ) - 68の最初のところでそらるさんは何を撮ったんですか? (2014年2月11日 14時) (レス) id: 8abaadbd6f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さやえんどう | 作者ホームページ:http  
作成日時:2013年3月2日 12時

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