二十七 ページ27
しばらくして屋台も見終わり
一人、いちご飴とたこ焼きを持ち
隣にある岩にそれらを置く
遠くから響くお祭りの音
川の流れる音
聴覚が自然と敏感になるほどに辺りは静かだった
『…あと五分』
私はずっと考えていた
あの人に会うためにすることを
それはあの人が嬉しそうに語っていた花火を見ること。さすれば出会えるのではないかと密かに期待をしていた。
そんなことあるわけが無いのに。
私を捨てたあの人にもう一度逢いたい
あの人と一緒に死にたい
それだけ。
あの人だけが私を愛してくれた
あの人だけが私を必要としてくれた
あの人だけが、私を拾おうとしてくれた
こんなにも穢れた私を
でも私はこの短い日の中で気づいたことがある
『…あの人だけじゃない…万事屋もだよ…』
私を拾ってくれたのは万事屋もだった
あの日、銀時からこれからどうするのかと聞かれた時からこれからの事をずっと考えていた
『…私は…』
万事屋に恩を返したい
それが脳裏をよぎる
そんなことを考えていれば大きな音と共に空が眩しく光る。花が咲いた。
「おい、ここ危ねーぞ」
『…え?』
「…は?」
後ろから聞き慣れた声が聞こえる
紫の髪色。
光る片目。
揺れる包帯。
大きな肩幅。
『晋助』
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作者名:沙也加 x他2人 | 作成日時:2018年9月30日 13時