君が為【芥川 龍之介】

其々の気持ち2 ページ34

ーー樋口sideーー
Aが拐われた。
15番倉庫へ行くには5分程かかる。
「芥川先輩、恐らくAは奥の隠し部屋に居ます。芥川先輩が助けに行った方が良いです。
ある程度蹴散らして頂ければ残りは私が。」
若しかしたら怪我をするかもしれ無い。でもあの可愛い後輩を助けられるなら…
「分かった。敵に構っている暇はない。死ぬな。」
「了解しました。」
私は怪我をも厭わ無い！
「到着しました。」

車から降りる。芥川先輩からは人も殺せそうな程殺気が出ている。

「手筈通りに行くぞ。」
「はい。」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ーーNo sideーー
倉庫の扉が食い破られ、見張りが数人負傷した。
「侵入者です！」
「彼奴ををさらった事、後悔させてくれる！」
芥川の黒い外套が一気に伸び、その場に居た大勢の首が飛ぶ。そして遅れて血飛沫が上がる。
「芥川先輩！行ってください！」
「ああ！頼んだぞ！」
銃声が鳴り響く。芥川が倉庫の奥へ走り出す。樋口は芥川の討ち損じを片付けて行く。
ーー芥川sideーー
奥へ進むにつれ、邪魔が多くなる。
「退けえぇぇ！」
あっという間に人は人だった物という残骸に成り果てる。
此処が恐らく樋口の言って居た部屋だろう。
ーーAsideーー
「退けえぇぇ！」
芥川さんの声が聞こえる。
「来た様だな。おい、準備しておけ。」
見張りの一人がボタンを押した。自動迎撃機だろうか、壁からライフルの様な物が出て来る。
この傷で此奴らを倒すには…比較的消費が少ない風魔法で動けなくしてから、あの銃も壊す。
芥川さんは間も無く来るだろう。
『〔アネモス〕！』
「何⁈如何して攻撃が…」
広範囲に弱めの魔法を放った。血飛沫がかかる。
機械も壊れて此奴らも恐らく立て無い。魔法を終了する。
切り傷なら直せるくらいの魔力は残っている筈。
「大内！貴様等死ねぇっ！」
芥川さんの羅生門が容赦無く見張りを切り刻む。
『あく、た、がわさん…すみませ…』
「やめろ、喋るな！早く自分に回復をかけろ！」
目の前が段々暗くなる。
『〔光の加護〕〔痛覚無効化解除〕っうああ！』
駄目だ。もうすっからかん。切り傷しか治ら無い。痛覚無効化解除で、一気に痛みが襲って来る。
足が痛いのは多分足を骨折しているからだろう。意識を必死に繫ぎ止める。
「もう、喋るな。恐らく樋口も敵を片付け終わった頃だ。帰るぞ。」
立て無いのを察してか、横抱きにされる。
安心して、私は意識を手放した。

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