君が為【芥川 龍之介】

其々の気持ち1 ページ33

ーー芥川sideーー
明日はまた敵組織の壊滅だ。樋口と大内を連れて行く予定だ。

樋口とはもう打ち合わせを終えたが、大内は今日、このビルに居無い。電話での打ち合わせとなる。

無機質な呼び出し音が鳴る。すると、知ら無い声が聞こえた。

「貴様は芥川か。部下は預かっている。」
『来ちゃ駄目でッうぐ、』
「返してほしくば15番倉庫まで幹部を連れて来い。」
「おい、まて！切るな！…ッチ」

電話の向こうから聞こえた彼奴の声は、少し掠れて居た？拷問を受けて居たのか。
声を発した後殴られた様だ。空気を吐き出す音も聞こえた。
15番倉庫と言えば明日僕等が襲撃する筈だった場所。幹部の方々は連れて行かずとも良いだろう。
首領に連絡して直ぐに出立する。

電話の呼び出し音が酷く長く聞こえた。
「もしもし、首領、お電話で失礼します。大内が拐われました。
明日僕等が襲撃する筈だった組織に捕まっている模様。樋口を連れ、救出に参ります。」
「何だって！分かった。必ず取り返して来るんだよ。」
「はい、失礼します。」

樋口の部屋は近い。急いで部屋へ行く。ノックをする。
「おい樋口、大内が拐われた。場所は15番倉庫。今直ぐ出立する。車を手配しろ。」
「っそんな！分かりました。では出入り口に車を呼びます。」
「ああ。先に行っている。」

今迄如何して気が付かなかったのだ。
僕は彼奴は彼奴が好きだったのだ。頼む。死な無いでくれ。
こんな時はエレベーターの待ち時間すらもどかしい。
樋口が追い付いた。エレベーターが到着する。

「芥川先輩、15番倉庫って事は明日襲撃する筈だった組織ですよね？」
「そうだろう。邪魔する者は全て消せ。但し大内の奪還が第一だ。」
「了解しました。」

下に着くともう、車は来て居た。

「お待ちしておりま」
「良いから早く15番倉庫へ向かえ。自体は一刻を争う。」
「はっ。」
車に乗り込む。頼む。間に合え…！
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ーーAsideーー
嗚呼しまった。此れではきっと芥川さんは来てしまう。

「貴様の上司が死に、ポートマフィアが壊滅し、絶望に突き落とされたら殺してやる。
楽しみに待っていろ。」

あの後散々殴られたり蹴られた。ナイフで切られた。
意識を懸命に保ちながら考える。持って後15〜20分。
ポートマフィアから此処まで5分。助かるか如何かは五分五分だ。
芥川さんが来たら死ぬ気で脱出しよう。

空はまだ曇ったままだが、其処に光が一筋。

其々の気持ち2→←不吉の予兆

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