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5話 ページ5

女に近づくと、シャツの襟元が反射してキラッと光った。
声をかけられた女はゆっくりとコナンと愛梨に視線を移した。
その瞳は右目が黒だが、左目は青い───。

愛梨「顔、汚れてるよ」

「……ああ……」

女は頬に手を当てた。

コナン「うわぁ、お姉さんの目、左右で色が違うんだね」

哀「日本語がよくわからないんじゃない?」

歩み寄ってきた灰原が言うと、女は首を横に振った。

「わかるわ……わかるわ……」

愛梨「どうしたの?こんなところに一人で。お友達もいないみたいだし……」

キョロキョロと周囲を見回した愛梨は、女のひざにかすり傷があるのを見つけた。
シャツから見える首や腕にもかすり傷がある。

愛梨「それにケガもしてるよ。ひざと手と……スマホも壊れてるみたいだし」

女の手元には画面にヒビが入ったボロボロのスマホがあった。
スマホの周りや女の服には小さなガラス片が付着していて、光に反射してキラキラと輝いた。

コナン「これ、ちょっと見せて」

コナンが女のスマホを手に取ると、灰原は女に質問した。

哀「お姉さんはいつからここにいるの?」

「……えーと……」

哀「じゃあどこから来たの?」

「……わからない……」

女の反応に、灰原と愛梨とコナンは顔を見合わせた。
この女性、もしかして───。

愛梨「お姉さん、名前は?」

「名前……」

愛梨にたずねられた女はキョロキョロと不安げに目を泳がせた。
そしてまた首を横に振る。

「ごめんなさい。わからない……」

コナン「自分が誰でどこから来たのかもわからない───これって……」

コナンと愛梨が振り返ると、灰原は女に近づいた。

哀「ちょっと頭を見せて」

「え、ええ……」

髪を後ろに束ねた女は頭を下げた。
灰原が女の髪をかき分けると、小さな傷があった。

哀「たいした傷じゃないけど、最近のものね」

コナンはボロボロになったスマホの画面をタップしたが、やはり完全に壊れていて反応はなかった。
手首を返してスマホの裏を見ると、破片がパラパラと落ちる。

愛梨「たぶん車に乗ってて事故に遭い、頭をケガした……」

愛梨の言葉に、灰原はあごに手を当てた。

哀「だとすると、外傷性の逆行性健忘───……」

そこまで口にして、ハッと気づく。

哀「え?何で車に乗ってたってわかるの?」

と目を丸くする灰原の横で、コナンは持っていたスマホをベンチに戻した。

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わー(プロフ) - 次の作品楽しみにしてます!頑張って下さい☆ (2016年6月15日 20時) (レス) id: e537cda21d (このIDを非表示/違反報告)
水羽(プロフ) - すごく面白いです!更新頑張ってください! (2016年6月1日 16時) (レス) id: cf1f663820 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - めっちゃおもしろーい!!最新まってます。 (2016年5月23日 20時) (レス) id: 979ecbcb37 (このIDを非表示/違反報告)
ゆなゆな(プロフ) - とっても面白いですく更新頑張ってください! (2016年5月14日 21時) (レス) id: 9e60c586da (このIDを非表示/違反報告)
わー(プロフ) - 更新お願いします(≧ω≦) (2016年5月1日 19時) (レス) id: 8cf7868275 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さきっち | 作成日時:2016年4月19日 21時

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