31話 ページ31
愛梨が答える横で、安室は二つのホイールの間からのぞく夜空を見上げた。
赤井が「そうだ」とうなずく。
赤井「オレは元の場所に戻り、時間を稼ぐ。何としても爆弾を解除してくれ」
走り去る赤井の背中を見て、安室はフンと顔をしかめた。
安室「簡単に言ってくれる……」
愛梨「透さん、これ」
愛梨はライフルバッグから工具を取り出して渡した。
安室「ああ……ありがとう。後はコイツの解体にどれだけ時間をもらえるかだな」
安室とコナンと愛梨は消火栓ボックスの中の起爆装置を振り返った。
確かに、車軸に仕掛けられた爆弾はいつ爆発するかわからない───。
そのとき、ある推理が閃光のようにコナンと愛梨の頭をかすめた。
(いや、待てよ。ヤツらが仕掛けてくるのは───)
ヤッベェ───!!
コナンと愛梨は階段に向かって走り出した。
安室「どうした!?愛梨ちゃん、コナン君!」
コナン「ノックリストを守らないと!」
走りながら振り返って答えたコナンは、愛梨の後を追って階段を一気に駆け下りた。
安室「ったく、どいつもこいつも……」
一人残された安室はため息をつくと、再び起爆装置に目を向けた。
階段を下りて狭い通路を走ったコナンと愛梨は、観覧車の中心辺りで立ち止まり、LEDビジョンの隙間から外をのぞいた。
観覧車の前に設置された五つの投光器が夜空にスポットライトを放っていた。
その光の帯の色を確認したコナンと愛梨は顔を強張らせた。
愛梨「やっぱりこのスポットライトは、キュラソーの持っていた5色のカラーフィルムと同じ色数」
コナン「それに、昼間と違って透明度までほぼ一緒だ!」
愛梨はポケットからカラーフィルムを取り出して広げた。
白、橙、青、緑、赤───。
この五つの色は、目の前のスポットライトと同じだ。
リングで繋がったカラーフィルムが扇形に開くように、スポットライトの五色の光も交差して左右に広がる。
そのとき、五色の配列がカラーフィルムと全く同じになるのだ。
コナン「オレたちの推理が正しければ、この配色と濃度をキュラソーが見たとき、ノックリストを思い出す」
愛梨「つまり、彼女の脳こそが記憶媒体……そして」
二人は頭上を見上げた。
幾つものゴンドラが遥か上をゆっくりと回っている。
キュラソーの記憶の扉が開かれるポイントは、ゴンドラが頂点に達したときだ。
昼間に元太たちと観覧車に乗ったとき、キュラソーが強烈な頭痛に襲われたのは、スポットライトの光を見たからだ。
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わー(プロフ) - 次の作品楽しみにしてます!頑張って下さい☆ (2016年6月15日 20時) (レス) id: e537cda21d (このIDを非表示/違反報告)
水羽(プロフ) - すごく面白いです!更新頑張ってください! (2016年6月1日 16時) (レス) id: cf1f663820 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - めっちゃおもしろーい!!最新まってます。 (2016年5月23日 20時) (レス) id: 979ecbcb37 (このIDを非表示/違反報告)
ゆなゆな(プロフ) - とっても面白いですく更新頑張ってください! (2016年5月14日 21時) (レス) id: 9e60c586da (このIDを非表示/違反報告)
わー(プロフ) - 更新お願いします(≧ω≦) (2016年5月1日 19時) (レス) id: 8cf7868275 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2016年4月19日 21時