3話 ページ47
階段を下りてあたしは「あれにはちょっと深い訳がありましてね…」と言い訳するはじめちゃんのネクタイから手を離すと、ちょっと彼から距離を取る。
『あたしに何か言うことあるんじゃないの?』
一「は?」
『…引っ越しするなんて大切なこと、報告しなくちゃいけないんじゃないの、あたしには!』
一「あれ、言ってなかったっけ?」
『聞いてないわよ……』
一「そうか、そうか。1週間後に引っ越しするからよろしく。以上、報告完了。うん!」
敬礼をして帰ろうとするはじめちゃんを振り返る。
『待ちなさいよ…』
一「ん?」
『それだけ…?』
一「ん?」
どこまでもわかってないはじめちゃんにちょっとイラッときて、あたしは涙目になりながら彼をキッと睨みつけた。
『わかったわよ、勝手にしなさいよ。もうどこにでも引っ越ししちゃえ!』
あたしははじめちゃんにそう言い捨てると逃げるようにその場から走り出した。
その時「おーい!」と聞き慣れた声が聞こえてきて、思わず立ち止まると向こうから向井刑事と偶然会ったのであろう美雪を連れたおっさんが片手を挙げながらあたしたちに近づいてきていた。
剣持「相変わらず仲良くやってるな、お2人さん」
にこやかにそういうおっさんに気まずくなりながら軽く頭を下げる。
剣持「今日は3人にちょっと頼みがあってね」
おっさんの言葉にあたしと美雪とはじめちゃんは思わず顔を見合わせた。
それからテニスコート近くのベンチへと座り、おっさんの話を聞く。
剣持「まず、これを見てくれ」
『バルト城ミステリーナイト、参加のご案内?』
おっさんから渡された封筒を開けて中に入っているものを広げて読むと両隣から覗き込んでくる美雪とはじめちゃん。
一「何すかコレ」
剣持「ドイツの古い城をまるごと日本に移築したものが長野に会ってね。そこで世界規模で参加者を募る推理イベントが開催されるんだ」
一「『ふ〜ん』」
一「あ、このMr.REDRUMって…」
剣持「主催者の名前らしいな」
へえ〜。
『で、これが何か?』
剣持「実はね、私も招待されてしまったんだ」
一「え!?おっさんが!?」
剣持「警視庁一優秀な刑事と思われてしまったらしい。お前たちと一緒にいると結果的に犯人を逮捕できるからな」
照れたように顎をさすりながらそう言うおっさんにあたしとはじめちゃんははあ、と頷く。
剣持「で…私一人で行くのも何だから3人も一緒に来てくれないか?」
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セレーナ - この作品も面白いわ^ ^名探偵コナンと暁のヨナの作品を早く更新して欲しいわ。頑張って (2020年2月8日 1時) (レス) id: a3d3399358 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみん - あああ、もうはじめちゃんは、彼女ちゃんがいるのに、お姉さんナンパかあ、次回は楽しみにしてます (2019年12月21日 13時) (レス) id: 5c9701a404 (このIDを非表示/違反報告)
にー - 突然すみません!ここのお話とは関係ないのですが名探偵コナンはいつ頃更新されますか?教えてください (2019年12月7日 9時) (レス) id: 2e8392d2ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2019年11月29日 19時