ひとりじゃない証-No.4- 【金田一少年の事件簿】初代実写版

17話 ページ40

場所は移動して合わせ扉の間の、合わせ扉のところにあたしたちは集まった。



一「鉄扉の中から悲鳴が聞こえた時、俺とAと紫乃さんは鍵を取るために木の扉のこちら側に戻った」



木の扉の間にいたはじめちゃんはそう言いながら棚のある方へと足を進める。



一「実はこの時猿彦は中から鉄の扉の鍵を開けて木の扉にはりついてたんだ」



そしてその状態で悲鳴をあげる。



一「この時、紫乃さんが持っていたこの鍵は偽物の鍵だ」



はじめちゃんはシャランと鳴る鍵束を見せた。



一「俺とAと入れ替わりに猿彦が外に出る。これで猿彦は俺たちに見られることなく、紫乃さんに本物の鍵を手渡すことができる」



はじめちゃんがそう言うのを聞きながらあたしは鉄扉の鍵を開けた。
そしてはじめちゃんが中へと入る。



一「あまりにも簡単なトリックさ。簡単なトリックの方が解き明かすのは難しい。このトリックだけが最後までわからなかったんだ」


美雪「はじめちゃん、さーちゃん、あの回転ドアでひらめいたのね」



美雪の言葉にコクンと頷く。



剣持「だけどそれは紫乃さんができるという状況証拠だけだ。紫乃さんがやったという証拠はない」


『その前に、猿彦が演じた役から暴いていこう』



場所は広間へと戻る。
廊下とを仕切る障子を壁にして龍之介、もえぎちゃん、ウメさん、美雪、警部が一列に並ぶ。
その前に紫乃さんが一人離れて立ち、あたしも離れたところに立つ。



一「俺たちがこの村に着いた日に紫乃さんを襲った首狩り武者。あれも猿彦の扮装。そしてAを攫った首狩り武者、あれも猿彦の扮装だ。俺は首狩り武者の後を追って洞窟に入り込んだ。そして俺は後ろからの一撃で気を失った」


『つまり間違いなく犯人は2人いたってことになる。そして猿彦の役はもう一つ。赤沼三郎だよ』



赤沼三郎に扮した猿彦はあたしたちにわざわざ赤沼の存在を印象付け、猿彦として再びあたしたちの前に現れた。



剣持「じゃあ、殺された赤沼三郎は？」


一「赤沼三郎は殺されてなんかいない。いや、そもそも赤沼三郎なんて人間は存在しないんだ」


剣持「だったらあの首なし死体は誰なんだ。赤沼じゃないとしたら」


一「あの首なし死体こそ、2人目の犠牲者だと思われていた征丸さんの死体だったんだ」



あの攫われた日、あたしたちは征丸さんの首しか見ていない。
赤沼の首は布に包まれたままだった。

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